羽鳥湖と会津・バルトの楽園

2006年6月に公開された映画【バルトの楽園】。この映画、私が羽鳥湖に二地域居住を始めた年に封切られた映画で、わざわざ、羽鳥湖から新幹線に乗って東京まで観に行った思い出の映画なのです。 主人公の松江豊寿中佐は会津藩武士の父親を持ち、戊辰戦争後、薩長・明治政府からの理不尽な仕打ちを受けた父とその頃の父の苦悩を見てきた主人公の幼年体験から、後に、ドイツ人捕虜を収容する四国は鳴門の板東俘虜収容所の所長になっても、軍部の上層からの圧力を跳ね除け、ドイツ人敗戦者に対する人道的な取り扱いをし、俘虜たちに「世界一の収容所」と語らせるほどのヒューマンな環境を創り上げたという内容。彼は「会津魂」のDNAを引き継いだ人だったんですね。ちなみに、ドイツ兵は、ここに収容されている間に、第一次世界大戦の敗戦国の兵という立場になり、開放されてドイツへ帰国するさいに、返礼として、坂東の住民や収容所関係の人たちの前でべートーヴェンの第九交響曲を演奏するのですが、これが日本での第九演奏第一号なのだとか。第九交響曲の第四楽章で合唱されるシラーの詩にもっとも相応しい条件での初演でしたね! べートーヴェンも天国で歓喜したことでしょう! しかし、出目昌伸監督は、この合唱シーンにあまり重点を置いてないような物足りない演出でしたね。映画の題材がいいので、この最後のシーンに収斂するような展開ができていたら、最高の映画に仕上がっていたと思います。