ふつうの子供産めますか- 福島の子どもたちからの手紙

週刊アエラ

編集部 山根祐作


 震災と原発事故から5カ月がたちました。今、福島県を離れて暮らす人は何人いるでしょうか。そして、福島県に残って窓を閉めて生活している人はどれほどいるでしょうか。

 全国に避難している福島の人たちがどんな思いで故郷を離れてきたのか、みなさんにわかってもらえるでしょうか。福島の子どもたちがプールに入れず、マスクをして登下校しているこの状況を安全だと言い張る政府に、私はとても疑問を感じます。

 今まで法律で決まっていた数値を何十倍にも引き上げて、それが安全だと言われても、私には信じられません。そんなやり方は、私たち中学生の間でも通用しないでしょう。

 福島県三春町から来た中学2年生の橋本伽耶さん(13)が、自分で書いた手紙を読み上げた。8月17日、東京・永田町の衆議院第1議員会館で開かれた集会。目の前に並んだ政府の担当者たちは、うつむいてノートにペンを走らせ、メモをとるだけ。伽耶さんは続けた。

 福島県民よりもお金のほうが大切なのですか。

 大人が勝手に作った原発でなぜ、福島の子どもたちが被曝しなくてはならないのか。なぜこんなつらい目にあわなくてはいけないのか。これほどの事故が起きても、どうしてまた原発再開を目指すのか。私には全くわかりません。

 このような状況で総理大臣が変わっても、よい国が作れるとは思いません。

 福島から上京した4人の小中学生の前には、原子力災害対策本部と原子力安全・保安院文部科学省の担当者10人が並んだ。集会では41通の子どもたちの手紙が、4人の子どもたちの手から政府の担当者に渡された。

 福島の子どもたちの思いを政府の担当者に伝えるために集会を開催したのは、福島の親たちでつくる「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」。メンバーの西片嘉奈子さん(33)は7月、福島市から小学生の子ども2人と山形県米沢市に避難した。子どもたちの声を政府に届けたいと思ったのは、小学3年生の長女の風ちゃん(8)の言葉がきっかけだった。

放射能っていつなくなるの?」

 6月初め、布団に入って寝ようとしたときに尋ねられたーー。