東電ムチャクチャ!利用者から高い電気料金むしり取っていた

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 4兆円に及ぶ福島第1原発事故の賠償金捻出に向け、東京電力の資産査定や経営見直しを進める政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)が28日、報告書をまとめた。同委員会は、高すぎる電気料金の不当性を厳しく指摘し、2兆円にも及ぶコスト削減や7400人のリストラを要請。「地域独占」「総括原価方式」でぬるま湯体質だった東電に対し、事実上の公的管理を突きつけた。

 やはり電気料金は高すぎだった−。同委員会が、東電の電気料金の算定根拠となるさまざまな見積もりについて、過去10年間分を徹底調査したところ、実際にかかる経費より約6186億円も過剰に計上されていたことが判明した。

 電気料金は、電気事業法に基づき、発電、送電、電力販売、設備投資…などの費用に、固定資産の3%を上乗せできる「総括原価方式」が適用されている。簡単に言えば、経費が増えれば自動的に電気料金を上げられる仕組み。同委員会は、修繕費などが約1割水増しされていた事実も指摘し、「料金原価はさらに引き下げられる」とも断じた。

 追及の手はこれに止まらない。東電は合理化によるコスト削減を1兆円超としていたが、さらに1兆円超上積みして2兆円規模が可能とし、値上げも最小限に抑えられると結論づけた。

 高すぎる人件費については、グループ従業員約5万3000人(今年3月末)の約14%に当たる7400人を2014年3月末までに削減すべきだとするリストラ策を指摘。企業年金の減額なども求めていくという。人員削減のほぼ半分は東電単体で行い、全従業員の約1割に当たる約3600人を削減。不動産やグループ会社などの整理、売却でも約6000億円を捻出させる計画だ。

 ただ、原発稼働率に応じた今後10年の収支状況では、すべての原発が再稼働しない場合、電気料金を10%値上げしたとしても債務超過寸前になると試算。原子力損害賠償支援機構の出資の重要性に言及し、実質的な「公的管理化」を促す内容としている。自浄できない組織の行く末は“国有化”か−。