日本原電、ベトナムと原発事業化調査契約

THE WALL STREET JOURNAL


電力9社が出資している日本原子力発電は28日、ベトナム原発2基を建設する事業化調査契約をベトナムとの間で結んだ。3月の東日本大震災による福島第1原発事故以降、原子力技術を輸出しようとする日本の最も野心的な動きといえる。 

 日本国内では福島の事故以降、原発の将来が疑問視されているが、日本の原発業界は海外売り込みに積極的な姿勢を崩しておらず、今回の契約調印は同業界にとって頼みの綱でもある。震災後、エネルギー政策が見直されている中で、日本政府は国内の原発依存軽減を約束している。

  一方、急速な経済発展を受けて電力需要が急増しているベトナムにとっては、日本原電との事業化調査契約は、ロシアの建設する原子炉2基以外にもエネルギー源を多様化する選択肢が得られる。同国政府は昨年、2030年までに8つの原発に13基の原子炉を建設する計画を発表している。産業貿易省のブオン次官の説明によれば、原発の発電能力は合計1万5000メガワットとなる見通しで、ベトナムの総発電量の7%に相当する。 

 ブオン次官は28日、ハノイで行われた事業化調査契約調印式であいさつし、「この調印は重要な節目となるもので、経済的な諸困難にもかかわらず、福島原発事故の後もベトナム原発開発の決意が固いことを示す」と述べた。 

 日本原電の関係者は、福島原発の事故の教訓はベトナム事業に生かされると述べた。原電の浜田康男社長はベトナム原子力開発を確実なものにするよう努力すると述べた。

 ベトナム当局者は日本が高度な沸騰水型原子炉を建設するだろうと述べている。沸騰型は日立製作所東芝が採用している。しかし日本の原電関係者は、建設する原子炉のタイプは未定だとしている。

 29日には、電力9社や原発メーカーなど13社が出資する国際原子力開発(東京)がベトナムの原子炉入札に関する覚書に調印する予定だ。このコンソーシアムは昨年、原子炉輸出促進のため経済産業省の肝いりで設立された。

記者: Chester Dawson and Vu Trong Khanh