中通りにセシウムの雪が降る

OLIVE NEWS

今週は、12月に入る。原発事故で被災した地域には、降雪の季節が到来する。寒いだろうな。
中には、雪は水だから地表面に降下した放射性物質からの放射線を抑制する効果があるので、スキーが出来ると云う専門家が出て来た。

だが本紙は、雪はある意味で自然的な環境清浄効果をもたらすものでありながら、同時に、山林に降下した放射性物質を、降雨同様、環境に移行させる悪い効果を有すると考えている。
そこで、降雪のメカニズムを説明しながら、地表面に降下した放射性物質の挙動を解説する。


降雪は、日本海を吹き渡るシベリアからの北西の季節風が、対馬海流(暖流)からたっぷりと水蒸気をため込んで、雪雲となって発達し、この雪雲はやがて山岳連峰にぶつかり、上昇気流となる。このとき断熱膨張により著しく温度が下がり、含まれた蒸気が凝結核のまわりに凍りつき、多量の雪となって山岳連峰に降り落ちるのが降雪である。

雪は、塵、埃などを核とし、大気中の水蒸気が凍って氷の結晶になることによってできる。
氷の結晶にさらに水蒸気が凍ってくっついて成長し、雪の結晶ができあがる。この雪の結晶が地上に落ちてくる途中で水滴になったものは雨となり、溶けずにそのまま落ちてきたものは雪となる。

一方、今般、福島第一原発事故で放出された放射性物質は、既に地表面の各所に降下し、多くは表土に沈着している。
しかし一旦地表面に沈着した放射能は、風によって土壌粒子とともに大気中に浮遊する。この過程が再浮遊と云われるが、降雪は前述のとおり、空中を浮遊する塵や埃を核として成長するから、風で舞い上がっている、例えば阿武隈山地放射性物質も合わせて降雪で再び地表面に降下させる。

福島県中通り阿武隈川流域)に降る雪は、越後山脈にぶつかった雪雲が新潟に雪を降らせ、奥羽山脈にぶつかった雪雲が会津に雪を降らせ、最後、阿武隈山地にぶつかった雪雲が中通りに雪を降らせる仕組みとなっている。つまり中通りに降る降雪は、阿武隈山地に雪雲がぶつかって上昇する際に降るから、そこにある塵や埃をも舞い上げて、中通りに雪を降らせる。するとその降った雪は、塵や埃と共に沈着した放射性物質を含んでいるはずであるから、その雪はセシウム雪やストロンチウム雪となる。

スキーとなるとその雪の結晶の核は、恐らく空中を舞っている放射性物質が沈着した塵や埃であり、かつ、阿武隈山地に雪雲が衝突することで降っているわけだから喜ぶわけには参らない。つまり毒性放射性物質を含んだ雪の中で、雪を口にしながらスキーに興じることになる。

また前述のとおり雪は、環境中に舞い上がった放射性物質を含んだ塵や埃を地表面に降下させ、かつ、雪が溶ければそれは雨水となって、市街地を再び汚染するのである。いわく降雨や降雪の度に、環境中に放出された放射性物質を含んだ塵や埃が地表面を汚染する。

自然エネルギーは巨大なものであるから、果たして何処まで人力が及ぶかは未知数と云わざるを得ない。日本はこのように降雪や降雨が多いから、セシウムストロンチウムの環境移行がチェルノブイリより早く進み、その移行は自然の地形に基づき阿武隈川流域を長期に汚染すると結論している。

以上
オリーブ拝 ( 2011/11/27 18:30 )