南スーダンへの自衛隊派遣は自衛隊の自己矛盾を象徴するものだ

天木直人ブログ

昨日1月11日、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に
あたる陸上自衛隊の先遣隊5人が成田空港から出国したという。
これをきょうの各紙が一段の見出しで小さく報じていた。
おどろくべきはそこに書かれている内容だ。
彼ら5人は南スーダンの首都ジュバや隣国ウガンダエンテベ空港
で、日本から輸送される要員や物資の受け入れに当たるという。
そして3月には宿営地の整備を行なう1次隊員約210名と、国連
などとの調整要員約30名が派遣されるという。
最後に5月ごろに2次隊員約330名が派遣され本格的な道路補修
などに当たるという。
至れり尽くせりのカネと準備を重ねての自衛隊南スーダン派遣で
ある。
そして何をするかと言えば道路補修であるという。
それが自衛隊の誇り高い仕事であるのか。
南スーダンの道路補修にそこまでの組織とカネをかけて行なうも
のか。
おそらくこんな事をしている国は日本だけだろう。
私は、誰にも負けない護憲主義者、平和主義者だが、「自衛隊
憲法9条違反だ」と声高に叫ぶ左翼イデオロギストではない。
自衛隊専守防衛に徹し、日本や国民が敵の攻撃にさらされた時に、
真っ先に死を覚悟して守ってくれる自衛隊ならそれを認める。尊敬さ
えする。
しかし現実は日本の自衛隊は米国の戦争に加担する米国軍の手下に
なり下がっている。
私は自衛隊が平時の日本で、復興・災害支援のためにいち早くその
機動力を発揮して国民生活を守ってくれることを評価する。感謝する。
しかし、大震災の復旧がままならず、ましてや除染という膨大な
作業が本格化する今になって、自衛隊がその作業から撤収宣言をし、
国際貢献の名の下に海外派遣に精を出すことに違和感を覚える。
しかも、だ。
ここが一番肝心なところだ。
自衛隊の本来任務は敵と戦うことではないのか。そう政府や防衛省
は繰り返してきた。
だから装備の帯同が許されるのであり、そのために憲法9条を変え
ようとしているのではないのか。
それならば真っ先に赴く先は「テロとの戦い」の戦場ではないのか。
日米同盟が一番求めているのはその事ではないか。
テロは世界共通の敵であり、米国の「テロとの戦い」は世界平和の
ためと言い続けてきた日本政府であればなぜ、NATO軍と同様に、
死を覚悟して自衛隊をその戦いに派遣することを最優先としないのか。
それをしないのは米国のテロとの戦いで犠牲になることは無駄死で
あることを知っているからだ。
南スーダンがそれほど重要なのか。
しかも道路補修が自衛隊の最優先任務なのか。
何から何までウソである。
危険は決しておかさないが予算と権限はどんどん拡充する。
これは典型的な官僚組織の利権拡大行為である。
それでありながら、旧帝国軍よろしく国と国民のために身を捧げる
自衛隊を強調する。
そんな野田政権と防衛省は欺瞞の塊だ。
それを喝破するメディアが現れない。メディアもまた権力に追従した
欺瞞に満ちた組織に成り下がっているということである。
                              了