200万人という許されざる被ばく実験

olivenews

福島市は12日、子どもや妊婦に配布した個人線量計(ガラスバッジ)の9〜11月分の外部被曝(ひばく)線量の測定結果を公表した。3カ月の平均積算線量は0.26ミリシーベルトで、1年間の推計線量は1ミリシーベルト未満が半数以上を占め、市は「がんの増加などの健康影響は考えにくい値」としている。

福島市は、外部被ばく線量で云うと、阿武隈川の東側が高く、西側が低い。
従って、平均という表現は、とりわけ全体の影響を小さくみせたいとの示威的な公表であろう。
初期被ばく(最初の3月末頃まで)や慢性長期被ばくへの移行期(4月〜9月)の積算線量は全く加算されておらず、住民をたばかる所為でしかない。

被曝リスクは蓄積量で測るのが世界の常識
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この測定に関しては例えば、ガラスバッジを配布されてすぐに高知県へ1ヶ月避難、3ヶ月装着して結果が来たら幼稚園の他の子達と数値が一緒だったとか、あるママはわざわざ放射線量の高いところに置きっぱなしにしたところ、結果数値0で来たとの情報が寄せられている。

ガラスバッジは、自分で線量を見ることが出来ず、業者が回収し、行政に報告するかたちの委託事業である。
したがって、そのガラスバッジの線量測定は、完全に行政と業者のブラックボックスになる。
同様に郡山でも同じような話が沢山あり、その測定精度に疑問の声が寄せられている。
福島市は、毎月のように人口が減少する状況だから、なんとか流出を食い止めたいとガラスバッジによる安全を云いたいのだろう。

除染についても、阿武隈山地に降った大量の放射性物質が今後も再浮遊で中通りに降りてくるし、水系にも入る。

ドイツのジーデントプフ医師は、「福島の状況はチェルノブイリよりずっと悲惨だと思います。福島の人口密度は当時のベラルーシ農村地帯とは比較になりません。さらに悪いことに飲料水が山地から供給されています。山地の上空では雲が拡散しません。そのために放射性物質は細い沿岸地帯に集中して残ってしまうのです。」と警鐘している。

本紙も異論は全くない。むしろ汚染マップの赤色ゾーンは、そもそもチェルノブイリよりセシウム濃度が高いのである。このままでは、壮大な200万人という人口が被ばく実験に晒されてしまう。もっとも、栃木県や茨城県群馬県、千葉県、この東京も放射性物質が戦後50年分降っているから、我々もモルモットかもしれない。

最大のリスクは、内部被ばくに関するものである。
内部被ばくは、線量というより、どの部位(臓器)の何処にどのようにどれくらいの放射性物質がどれくらいの時間入っていたかが重要になる。
簡単に云うと核種と濃度と時間の関数になる。

非常に小さい内部被ばく量であっても、特定の部位の特定の場所に集中すれば大きな内部被ばくになる。
このことは、核医学をやっている児玉教授が幾度も説明している。
ベータ線アルファ線を出す核種は、組織内の非常に狭い範囲に全ての放射エネルギーを放出し、膨大な数の分子切断を誘導し、細胞の大量死を引き起こす。

その中から、生き残ったゲノム不安定化細胞が将来のがんに発展する種になる。
この種が出来ても、免疫が人間にはあるので、実際に発現するまでに時間がかかる。
だが免疫は、小さな子どもでは未発達であるため、傷ついた細胞が増殖しやすい。
これから特に中通りは以前も述べたが、長期間阿武隈山地がリザーバー(貯蔵地)となって、環境汚染が継続する。

空気も、水も、食品も全て放射性物質に汚染される。
放射性物質は、経口や吸引を介して人体を汚染して行く。
その最大の犠牲者は、子どもたちである。

チェルノブイリで起きた最も顕著で分かりやすい結論は以下のとおりである。

1)出生数が減少する。
2)死亡数が増加する。
3)健康な子どもが減少する。

以上
オリーブ拝 ( 2012/01/13 18:30 )