カンタン外部・内部被ばく量計算(舞上りも)
このところ福島市の定時降下物が増えているようである。
冬は、空気が乾燥するのと風が強くなるため地表面に降下した放射性物質が大気中に舞い上がり易くなる。
是から特に春にかけて花粉含め関東圏にも襲来して来るものと予測されている。
なお現在も福島第一原発は、緊急事態宣言が解除されているわけではなく、放射性物質の放出が止まっているわけではない。
しかしながら既に阿武隈山地や原発周辺に降下している放射性物質の量の方が圧倒的に多い。
従って今後は、この大量に降下した放射性物質の環境移行が議論される必要がある。
環境移行経路は、水系、雨、雪などのほか地面からの再浮遊により大気を通じて移行する経路がある。
本日は、是らの経路からの外部、内部被ばくをある程度計算(電卓レベルで)出来るように解説しておきたい。
被ばくは、主として以下の経路がある。
1)外部被ばく(地表面に落ちた放射性物質が出す放射線由来)
2)内部被ばく
1.経口摂取(食べ物や飲み物から体内に入る)
2.吸引摂取(呼吸することで体内に入る)
1)外部被ばく(地表面に落ちた放射性物質が出す放射線由来)線量
ガイガーカウンターの数値 マイクロシーベルト毎時を基本に計算
例 1マイクロシーベルト毎時の場合の地面の放射性物質のベクレル数
1マイクロシーベルト=282,000ベクレル/平方メートルで換算する。
単純に0.5マイクロなら、1平方メートルに141,000ベクレルの放射性物質があることになる。
放射線量を1マイクロとして、1日8時間、外部で活動する成人の場合、1日8マイクロシーベルト被ばくする。
屋内を0.3マイクロと仮定すると、屋内で0.3×16=4.8マイクロシーベルト被ばくする。
合わせて、毎日8+4.8=12.8マイクロシーベルト被ばくする計算になる。
これに日数をかけて、12.8×365=4672マイクロシーベルト☆(4.672ミリシーベルト被ばくする。)
つまりこの仮定だと年間4672マイクロシーベルトの外部被ばくをする。
なお実際には、屋内に入っている時間をここから更に割合で減じることになる。
2)内部被ばく
現在、厚生労働省では一般食品の基準値を100ベクレル(セシウム137+134半々)/Kgと設定の予定。
この基準で毎日1Kgの食品を食べたとすると、以下の計算になる。(経口摂取)
50ベクレル(Cs137)×365×0.013(μSv/Bqの換算係数)=237.25マイクロシーベルト(年)
50ベクレル(Cs134)×365×0.019(μSv/Bqの換算係数)=346.75マイクロシーベルト(年)
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合計 584マイクロシーベルト(年)☆
次に風などで再浮遊(舞い上がること)し、大気中の空気を吸った場合を計算する。
当面は、安全面を見て再浮遊係数に10万分の1を採用する。
地面濃度は、1マイクロ=282,000ベクレルだから282,000/m2÷100,000(係数)=2.82ベクレル/m3
つまり1マイクロの地面から、一立方メートルあたり2.82ベクレルが舞って含まれることになる。
次は呼吸量。
大人は、だいたい1立方メートル毎時の大気を吸う。(幼児は0.33)
なので、1時間あたり外部では、2.82ベクレル吸入することになる。
8時間なら、2.82×8=22.56ベクレル(1日あたり)を吸い込む。
ここで仮にセシウム134が0.4、セシウム137が0.6の割合だとすると以下のような計算になる。
13.54ベクレル(Cs137)×365×0.039(μSv/Bqの換算係数)=192.7マイクロシーベルト(年)
9.02ベクレル(Cs134)×365×0.02(μSv/Bqの換算係数)=65.8マイクロシーベルト(年)
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合計 258.5マイクロシーベルト(年)☆
∴経口(584マイクロシーベルト)+吸入(258.6マイクロシーベルト)=842.6マイクロシーベルト
内部被ばく合計=842.6マイクロシーベルト(年)☆
重要な点は、吸入はマスクをしない限り防げないこと。
3)被ばく量推計
1)+2)=4672マイクロシーベルト+842.6マイクロシーベルト=5514.6マイクロシーベルト(年)
従って、年間最大5.5146ミリシーベルト被ばくすることになる。
以上、あとは各自で、個別の生活行動に合わせ活動時間を入れ替え計算すればよい。
(なお内部被ばくに関しては、線量評価に議論があると助言しておきたい。)
※(Cs134と137は厳密には放射エネルギーが違うが、丸めて換算する。)
オリーブ拝 ( 2012/01/19 18:30 )