福島県 死亡数が出生数の2倍超える

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年間20ミリシーベルトに科学的根拠は無い。この閾値は、あくまで150万人が居住する福島県の人口密集地を外し、原発事故損害を最小にするために企図されたものだからである。
ICRPの事故からの移行期基準である1ミリ〜20ミリの間で選択するというのは後付けで説明されたものでしかない。

国際的にも1ミリシーベルトは、定着した許容できる基準限度であり、長期間にわたりこれを超えることを指すものではない。さもらしい公開の低線量ワーキンググループの議論も、最初に結論ありきであり、20ミリは安全だとの見解を政府に助言するいつもの官僚手法でしかない。

20ミリは、簡単に云うなら「中通り120万人+いわき市30万人」を運動場の外に置くために恣意的に設定されたものであり、そこに科学性はゼロだと思ったほうが良い。
仮に、この地域に国際基準である年1ミリシーベルトを適用すると、国や自治体にとって不都合な真実が浮かび上がる。

もし交通事故のように後遺障害を認定するとして、晩発性後遺障害に3000万円と置くと100万人なら30兆円に及ぶ。東京電力は、一発で破綻し、政府が背負うことになる。
しかし是は事故を引き起こしたのが東京電力なのだから当然のことなのだが、政府や原子力産業を守る立場の既得権益集団や補償費用を小さくしたい財政当局や自治体の利害が一致し、それが20ミリや安全宣伝になっているに過ぎない。

この背反は、詰まるところ150万人県民の隔離という政策に帰着し、因って全国患者調査すら除外される。
県民健康調査が福島県立医科大学に委託されたが、3年間に1回というおざなりの調査であり、むしろ福島県民を放り出したと云うのが正鵠を射た表現だろう。

中通り放射性物質の降下量からすれば、ベラルーシのモギリョフ州に相当する汚染度であり、避難選択権の供与は人権の面からも当然であるのに、全く検討されず、意味不明の除染が云われる。しかも除染は、政府の外郭団体経由で発注され、単なる公共事業と化している。
最も人口が多い前述の汚染地域は、国が直轄せず、自治体主導で行なうというが、ノウハウも人も予算も限られた状況下に置かれている。

中通りの主要都市である福島市郡山市は、放射能を云うと安全だと云い込められ、不安を抱えながらの生活を余儀なくされている。
平成24年01月01日現在の福島県推計人口は1,982,991人となり、前月比▲2,033人となった。自然動態は更に深刻で、平成23年12月01日〜12月31日の出生数986人に対し、死亡数2,024人と▲1,038人の減少となっている。

是は、チェルノブイリでも出現した毎年死亡数が出生数を大幅に超過する原発事故後の兆候を示しており、状況は益々深刻化している。しかし国は、子どもの医療費を無料化することも断念し、患者調査も行なわず、除染で雇用が増えるとうそぶく。

本紙は、政府が云う低線量ワーキンググループの専門家の報告書とは逆に、自然の摂理として、今後も死亡数が増加し、出生数が減少すると予測する。具体的には、心疾患、脳卒中、糖尿病、がんなどが増えるだろう。
政府は云う。因果関係が無い。しかし、命や健康は確実に失われていくのである。

皆さんのご意見もお待ちする。
オリーブ拝 ( 2012/01/22 18:30 )