渡辺謙に先を越された菅直人

天木直人ブログ

ダボス会議菅直人前首相が出席する事を私が最初に知ったのは
1月18日の報道であった。 
それによれば、野田佳彦首相は18日午後、首相官邸民主党
菅直人前首相と会い、スイスのダボスで25日から開かれる世界経済
フォーラム年次総会(ダボス会議)への代理出席を要請したという。
首相は「自分も本当は行きたいけれど行けないのでよろしく」と
求め、菅氏も受け入れたとなっている。
本当か?今の政局で出番のない菅直人前首相が野田首相に行かせて
くれと頼み込んだのではないのか。
いずれにしても、私はこのニュースを不快感を持って読んだものだ。
東日本大震災からの復興への取り組み状況を説明するという。
悪い冗談だ。
原発事故の対応すら国民への説明責任も果たさないまま、よくも
国際会議で大震災復興について話をする気になれるものだ。
そういえば菅首相は昨年のダボス会議にも国会よりも優先して出席
していた。
当時の報道を振り返ると、おりしもエジプトで革命が起こり、邦人
救出のために政府専用機を飛ばそうという意見が出た時、好きでエジ
プトへ行った者たちになぜ使わなきゃいけないのか。専用機は自分が
使う、などと発言して批判を浴びたなどと報じられていた。
それを知って私はますます菅直人前首相のダボス会議出席への不快感
を募らせていたのだが、それを吹っ飛ばせてくれた記事を見つけた。
きょう(1月26日)の各紙が報じている。
俳優の渡辺謙(52)が25日ダボス会議で英語でスピーチして喝采
を得たという。
「行き場を失った人々に残ったのは、人が人を救い、支え、寄り添う
『絆』という文化だった」と訴えたという。
福島原発事故にも言及し、「再生エネルギーに大きく舵を切らなけれ
ば子供たちに未来を手渡すことは出来ない」と、人間にコントロール
できないエネルギーからの脱却を訴えたという。
素晴らしい演説だ。
欧米では当たり前のようになっている俳優、芸能人のダボス会議での
スピーチであるが、日本人では初めてだという。
何も俳優、芸能人に限らない。これまで政治家や財界を含めた
いかなる日本の代表者のスピーチの中で、ここまで自分の声で世界に訴え
ることのできるスピーチをした者がいただろうか。
菅直人前首相は26日にもスピーチするらしい。
しかしもはや渡辺謙のスピーチの後に何を言っても二番煎じになる。
菅直人前のスピーチなどもはやどうでもいい。
いまさら腹も立たない
                             了