Mad City 

独りファシズム

この国のあらゆる経済現象は宗主国のagenda(日米経済調和対話)に基づいて進捗しています。国土全域におよぶ汚染ガレキの搬送は蒙昧の所産ではなく、むしろ壮大な医療市場創出を目的とする酷薄の理知であるとみなすべきでしょう。

過去10年以上にわたり米国の医療・保険業界は2000億円規模の資金を投じ突出したロビー活動を継続していますが、その最たる狙いが日本市場の制圧にあることは周知のところです。医薬品、医療機器、医療IT、医療保険また医院の株式会社化など、米国は日本国を最大の医療マーケットと位置づけ規制改革の執拗な要求姿勢を崩すことはありません。

まして3.11を契機とし放射線由来の疾患が世界最富国で永年に生起するのですから、野心がこの商機をさらに拡充し、市場の絶対化を目論むのは必定と言えるでしょう。抗弁あるいは反駁を斟酌しても、原発事故が多国籍医療カルテルにとって福音であることは間違いありません。

広範囲な核物質の拡散と病理の蔓延は専制者(米国)と代行者(官吏)間におけるalliance(連携)であり、荒廃する国土はあらゆるメディカルマーケティングが羨望する豊穣の沃野と化してます。すでに個々はアンチユートピア世界の住人であり、生命も尊厳も知性も冒涜されながら、怠惰な無知に安住し現実の虚偽性に気づくこともありません。

この国は解体の途上にあります。首都圏へ汚染が進捗しているのですから、今後は指数関数的に種々の疾患が勃発し、医療費の増大と経済の後退、不可逆な人口減と加速的な歳入減、財政収支はこれらの協奏により圧迫され、終局的に社会保障制度も破綻することになるでしょう。

さらに土地本位制度の崩壊は株式市場の壊乱と同義であり、連鎖して通貨暴落となることは語るまでもありません。おおよそのシンクタンクは各々の社会現象に対し周到なシミュレーションを行なっているのですが、資本行動はカオスと錯乱に乗じ巨利を貪る機会を穿っています。

汚染の顕在化に伴い株式や債権は未曾有の乱高下へ突入するのですから、金融市場は投機グループにより凄まじい狩場となり、莫大な社会資本が国外流出するのは必定です。この現象は官僚腐敗、制度疲労財政破綻原発事故という国家崩壊の要件を万端に満たしたソビエト末期のdeja-vu(既視)であり、むしろ全ては破綻を前提としたシナリオに従っているわけです。

つまり帰属は文明先進国ではなく人権抑圧の第三世界であり、国家は民族集団ではなく閨閥集団の従属物であり、世界は生命の多様性ではなく資本の単一性にフォーマットされているのですから、我々は生存にむけてあらゆる概念の改鋳を迫られています。