東電会長らを集団告訴へ 原発事故 県内避難者も参加

中日新聞

業過致死傷容疑
東京電力福島第一原発事故を防げず多くの住民を被ばくさせ、避難途中に入院患者を死亡させたなどとして、福島県在住者や県外避難者らが、六月十一日にも東電や原子力安全委員会経済産業省原子力・安全保安院の幹部らを業務上過失致死傷などの容疑で福島地検に告訴する。石川県内に避難中の少なくとも五人が告訴団に加わる見込みで、北陸三県への避難者に参加を呼び掛けている。
 昨年三月の事故当時に福島県内にいた人で告訴団を結成。これまでに三百五十人が加わっており、六月十一日は千人規模での告訴を目指している。
 六月の告訴後には第二次告訴団として、福島県以外の東北、関東の各都県の在住者で原発事故の被害を受けた人たちに参加を促す。
 福島県田村市から金沢市に避難中で、告訴団に加わる浅田正文さん(70)は「被害者が自ら命を絶つほどの苦しみを味わっているのに、加害者が何も問われない理不尽は許されていいはずがない。法治国家として新しい国をつくる一つのステップにしたい」と話す。
 告訴する相手は会社や組織ではなく、個人として、個々の刑事責任を追及していく。対象は東電の勝俣恒久会長や清水正孝前社長、班目春樹原子力安全委員長ら二十五人を超す見込み。告訴容疑は、業務上過失致死傷のほか、有害な放射性物質を大量に拡散させたことで「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」違反も検討中だ。
 告訴団代理人の河合弘之弁護士(脱原発弁護団全国連絡会代表)は「個人を告訴することで事故がなぜ起き、被害が出ているのかをはっきりさせる必要がある」と三月の告訴団結成集会で意義を説いていた。
 告訴団の北陸三県での窓口は浅田さんとなっている。問い合わせは、浅田さん=電080(5565)7236=へ。