日本ゲバラ小沢最後の闘い 8月民主党は溶けて無くなる

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日本ゲバラ小沢最後の闘い 8月民主党は溶けて無くなる
(日刊ゲンダイ2012/7/23)

◆間もなく選挙戦に突入し民主でもなく自民でもなく乱立小政党と覚醒した市民によるこの国再生の新しい動き

酷暑の重大政変、小沢一郎の離党が政権の終わりの始まりだった

民主党議員は続々離党、それぞれ個別のグループを結成して反野田政権の永田町のゲリラ戦が始まった やはり、小沢一郎が動いた影響は大きかった。小沢グループ49人の離党をキッカケに、民主党が“自壊”し始めている。



先週17日には、女性議員3人が、原発の再稼働反対を理由に、「自民党との違いが分からなくなった」「理念もろとも変わり果てた」と離党届を提出し、新会派「みどりの風」を立ち上げた。さらに、衆院議員1人が「尖閣諸島問題」への対応に不満を強めて離党。

離党者は55人に達している。さすがに輿石幹事長が「政権が崩壊する認識を持っているのか」と、漏らしたほどだ。
野党ならまだしも、政権与党から次々に離党者が出るのは、よほどのこと。小沢の離党を契機に、民主党政権の“終わり”が始まったということだ。

衆院37人、参院12人で新党を立ち上げた小沢に対し、大手メディアは「孤立深める船出」(毎日)、「多難な船出」(日経)、「展望なき船出」(産経)とバカにしていたが、とんでもない。

小沢の離党に刺激を受け、野田政権に不満を募らせていた民主党議員が、一斉に「反野田」の火の手を上げ始めている。それぞれが個別にグループをつくり「反野田」のゲリラ戦を始めた格好だ。政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「もはや民主党の離党ドミノは止まらないでしょう。離党予備軍は50人は下らない。すでに鳩山由紀夫は『党に残るか、決断しなければならない』『内閣不信任案が提出された時、どういう行動を取るか心構えをしないといけない』と、不信任案に賛成し離党することをにおわせています。離党者が続出するのも当然です。

ここまで国民を裏切り、マニフェスト違反をすれば、マジメな議員ほど党から離れていく。支持者から突き上げられている議員も多い。なにより、多くの議員が『民主党に残っても落選するだけだ』と党を見限り始めている。ドロ舟から逃げ出そうとしている。まさに末期的です」
いよいよ崩壊のカウントダウンに入った。

小沢一郎VS「民主・自民」の最終決戦

民主党の崩壊が近いとみてとった自民党は、一気に解散・総選挙に追い込むつもりだ。これまで野田首相に協力してきた谷垣総裁も、「消費増税法案の成立前でも不信任案を提出する」と口にし始めた。

民主党には離党予備軍が50人いるだけに、自民党が内閣不信任案を提出すれば、可決される可能性が高い。不信任案に賛成し、そのまま「新党」を結成しようと考えているグループが複数あるともいわれている。可決させるための「造反」15人のラインなど簡単に突破するはずだ。

日本の政治は、まもなく解散・総選挙に突入するとみて間違いない。
ただし、今度の総選挙は、これまでの選挙とは、まったく違うものになるだろう。05年の郵政選挙も、09年の政権交代選挙も、「民主VS.自民」の2大政党の争いだった。

しかし、間近に迫ったこの夏の総選挙は、小沢が率いる「国民の生活が第一」などの小政党が、民主、自民の巨大政党にゲリラ戦を挑む戦いになるはずだ。

これまで何度もゲリラ戦を戦ってきた、チェ・ゲバラのような小沢にとって、最後の闘いになるに違いない。
衆院選の構図が、〈民主VS.自民VS.第三極〉になるのは確実です。小沢新党、橋下新党、河村新党、みんなの党新党大地……など、乱立する小政党が、巨大な2大政党に挑む形になるでしょう。さらに、民主党を離党した志のある議員が新党を結成するはず。大混戦になるのは間違いない。これまで自由党などの小政党を率いて戦ってきた小沢一郎は、乱立する小政党と連携し、2大政党を倒すつもりでしょう。小沢一郎の40年間の政治経験をかけた戦いになるはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)

意外に感じるかもしれないが、小沢一郎とチェ・ゲバラはよく似ている。

チェ・ゲバラは、少人数のゲリラで山岳に潜伏し、奇襲をかける戦いを得意とした。キューバで革命を成し遂げた後も、地位や名声を求めず、キューバを離れ、ボリビアに渡り、独裁政権を倒す戦いに身を投じ、最後は殺されている。南米が生んだ英雄だ。ただ、仲間からは「理想論にすぎる」と疎まれ、時に孤立しがちだったという。最後まで「国民生活が第一」と理想を唱え、とうとう民主党を追放された小沢と重なる。

◆3・11で覚醒した国民が動けば政治が変わる

小沢一郎が挑む最後の闘い、ゲリラ戦は成功するのか。手勢わずか49人の小政党に勝機はあるのか。なにしろ、相手は官僚、財界、労組、アメリカという巨大な権力をバックにする民主、自民の2大勢力である。

すべては、国民の7割に達する無党派層がどう動くかにかかっている。民主党に裏切られた無党派は、絶対に民主党に票を入れない。かといって、自民党を政権に戻すつもりもないだろう。無党派層がハラを固めて「第三極」に一票を投じれば、あっと驚く選挙結果になるはずだ。政治評論家の森田実氏が言う。

「これまで日本人は、政治に不満があっても声を上げない羊のようにおとなしい国民だとみられてきました。しかし、3・11以降、日本人は変わった。毎週毎週、数万人が『脱原発』を訴えて官邸を取り囲むなんて、これまで考えられなかったことです。しかも、個人個人が強い意志を持って自発的に集まっている。デモは札幌、名古屋、大阪と全国に飛び火しています。ここまでデモが広がっているのは、ただ再稼働に反対しているだけではない。『政治が国民を無視している』という、日本のあり方全体に強い不満があるからです。3・11によって『政府は嘘をついている』『勝手なことをしている』と国民は気づいてしまった。既成政党に対する政治不信は相当なものです。それだけに、野田政権に逆らって“脱原発”“消費税反対”を掲げる小政党は勝利する可能性がある。勝敗のカギは、それこそ小政党がチェ・ゲバラのように目線を低くし、国民運動のなかに身を投じられるかどうかです」

菅直人野田首相に「野田さん、あなたは国民の怒りの対象になっていますよ。分かってますか」と問いかけると、首相は「えっ、そんなことになっているの」と驚いたそうだ。フランス革命の時のルイ16世が、バスチーユ監獄が襲撃された日、日記に「何事もなし」と書いたのと同じだ。この男は、国民の声を聴く気がまったくない。

この国を再生するには、3・11によって覚醒した国民が、小沢一郎のゲリラ戦と、うまく呼応することしかないのではないか。