オスプレイ配備を無条件で受け入れる野田首相のもう一つの大罪

天木直人

オスプレイの配備問題で、「米国が実施することに日本としてどうこう
言えるものではない」などとと言った野田首相の発言を私は強く批判して
きた。
対米従属外交の極みであると。
その意味するところは、国民生活の安全に関する問題を米側と協議する
ことは、事前協議の対象に含まれているかいないかなどという問題を超え
たこの国の主権に関する問題であり、それをはじめから放棄するなどと
いうことはあり得ないからだ。
ところがそれとはまったく別の観点から野田首相の対米従属外交を痛烈
に批判した記事を見つけた。
夕刊フジ8月2日の日高義樹「世界を斬る」の記事がそれだ。
「国の安全を全く考えていない野田首相民主党首脳の大罪」と題する
その記事で日高氏は要旨次のように野田首相民主党政権を批判してる。
オスプレイ配備は単なる輸送機の変更ではない。米国がアジア極東に
おいて地上戦闘をやめ、「エア・シーバトル」(筆者註:潜水艦や航空機、
さらにはミサイルなどによる戦闘)と呼ばれる新しい戦略を始めるための
第一歩だ、と。
オスプレイはまた、海兵隊を乗せて中国の奥深く侵入し、特殊作戦を行
う時に使われる、と。
野田首相は当然のことながらこうした米国の新しい戦略について十分に
協議した上でオスプレイの配備に対処しなければならない、と。
しかも、米国が今後オスプレイをはじめ、無人偵察機や特殊潜水艦に
よる戦闘行動に力を入れることになれば、米国が日本と共同して戦争に
立ち向かうという日本の集団的自衛体制にも大きな影響が出てくる、と。
要するにこうした問題を含めてオスプレイの配備を話し合うのが事前
協議であって核兵器の持込や通過の問題だけが事前協議ではないのだ、と。
そして日高氏は次のように野田民主党政権を叱る。
民主党野田首相の大罪は、不景気の中で消費税を増やすといった経済
的な愚策だけではない。国の安全をまったく考えていないことだ、と。
私と日高氏はその安全保障政策において考え方が大きく異なる。
しかし持つべき防衛政策までも米国に丸投げし、ひたすらオスプレイ
安全飛行ばかりを口にする野田民主党政権の対米従属姿勢を批判する点に
おいてはまったく同じである。
ちなみに、日高氏はこの記事の中で、オスプレイの次は無人偵察機の配備
であると書いていた。
その言葉を裏付けるように、きょう8月4日の読売新聞は一面トップで
スクープ記事を掲載した。
それによれば日米両政府は米軍の無人戦闘機「グローバルホーク」を日本
周辺海域に配備し中国の海洋活動を牽制する方針を固めたという。
我々国民の知らないところで日本の防衛政策はどんどんと進められている。
それを日高氏はとっくに米国から聞かされて知っているという事である。
こっちのほうがより深刻だ。
                            了