Help!! 緊急提言3 子どもを汚染地帯に行かせてはいけない

武田邦彦中部大学教授

福島の子どもたちの甲状腺異常の状態。

1)通常の小児の甲状腺異常(結節など)は100人に1人程度。多くても3人。
2)福島の子どもたちの100人に約40人に異常が発見され、特に小学生の女児は100人に55人に及んだ。
3)甲状腺異常がガンになるのは大人で100人に数人だが、子どもは20人から30人(小児科専門医からの情報による)。
4)放射線の被曝による損害は5年(大人、子どものデータは不足しているが3年ぐらい)の余裕がある。
5)従って、被曝による影響は「重大あるいは取り返しのつかない損害」が発生する可能性がある。

日本が国際的に約束している「予防原則」。

予防原則:  原則15:環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的方策を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない。」(RIO DE JANEIRO DECLARATION 1992)

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2011年の原発爆発以来、次のようなことがありました。
1)事故直後から、教育委員会、校長先生に「子どもたちの汚染を減らすように全力を挙げて欲しい」と何回も呼び掛けましたが、当時、1日に50万件を超えるアクセスがあったにも関わらず、普通の先生以外は反応無し、
2)1年5ミリシーベルトセシウムだけ)の給食が始まったとき、これが1年17ミリ以上になるので受け入れないように呼び掛けたが、反応無し、
3)給食責任者から「汚染された食材を拒否する親がいて困る」という相談があり、「汚染された食材を拒否する方が、食品提供者と考えが合うはずだ」と答えるようなことまであった、
4)一関などが汚染されたので、子どもが被曝したり、汚染された食材を食べないように注意を喚起したら、市長や議会から抗議を受け、メディアからも「なんで一関の名前を出すのだ」と一斉に攻撃を受けた(一関ではその後、汚染牛、汚染食材、高線量率を出した)、
5)1年20ミリという福島の被曝量は、1年に胸のレントゲン400回に相当すると警告したが、教育関係者は「お上が言うのだから」と自らの判断を避けた、

6中国地方の中学校と記憶しているが、修学旅行に日光に行くということで心配した親から連絡があり、「大人でも行かないのだから」と校長先生にメールを差し上げたら、「昨年も行ったから」という回答があった、
7)東京の学校が日光に次々と行くので、何回か控えるようにお願いしたが、生徒の全体の被曝量を計算せずに、日光に行ったときだけを計算していた、
8)親が心配しているので、行事の参加をいやがる子どもを「そんな人間は日本人ではない」という先生が多かった、
9)先日、汚染地帯に行くのをいやがった子どもに対して、次のようなことをした先生がおられることをメールにあった(かなりの数があった)
「子供は学校で校長先生や他の先生に囲まれて参加しないと残念な気持ちになる とか日光でも生活をしている人がいるのにその人たちの心を考えた事があるか など 泣くまで延々と説き伏せる行為に及びましたこのような状態の中で学校が子どもたちを汚染地帯に連れて行くのが跡を絶ちません。」

・・・これが被爆した国日本、そして文明国でしょうか・・・
大人の理由は、
1)子どもたちを被曝させても声が小さい、
2)親の内、心配している親は少ないので、親同士のイジメで解決できる、
3)子どもたちがどのぐらいの被曝をしているかは計算しない。これまで被曝していないとすると、汚染地帯に連れて行っても問題は無い、
4)日本人を被曝から守る法律はないと主張する、
5)国は子どもたちを被曝させても問題は無いと言っている、
6)これまでのつきあい、リベートなどがある、
7)汚染地帯の人の生活が大切で、子どもの健康を犠牲にしても良い。

特に原発事故の後、日光などの汚染観光地へ子どもを連れて行くことが多いのですが、大人の観光客は激減しているところに、「大丈夫だ」と言い、保護者同士で監視をさせて強引に行事を実施しています。

校長先生!! あなたの人生は教育だったのです。是非、教育者の本来の姿を取り戻し、子どもたちを汚染地帯に連れて行かないようにしてください。将来に対して先生は法令を超える責任を持てますか?

平成24年10月21日)


武田邦彦