【シロアリ役人だけじゃないゾ 復興予算に群がる大マスコミ】国からメディアに流れた復興広告など30億円

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本当に必要だったのか?
 被災地のために組まれた復興予算が税務署の耐震化などカンケーないことに使われていることを大マスコミは連日、シャカリキになって批判しているが、ちょっと待ってもらいたい。復興予算で潤っているのはメディアも同じなのである。その実態を連載で暴いていく。

<大新聞から地元紙までズラリ>

 復興予算の流用問題は、「週刊ポスト」が2カ月も前にスッパ抜いたものだ。しかし、大メディアはずっと知らんぷりを決め込んできた。2カ月前といえば消費増税法案が可決する、しないの時期で、この問題を新聞テレビが一斉に追及していれば、廃案に追い込むこともできた。ところが、大メディアはそれをしなかった。復興予算という名の“毒まんじゅう”を食ったという意味では同じ穴のムジナだったからだ。で、後出しジャンケンのように消費増税法案が成立した後、9月になってNHKが復興予算の流用を“スクープ”。それを皮切りに大マスコミの形だけ“追及”が始まったのだ。
 こうした経緯を国民はナーンにも知らないわけだが、この間、メディアに流れた復興がらみの税金はベラボーだ。
 最初は震災広告で、掲載は昨年4月29日だった。〈復興アクションで応援しよう〉と東北旅行や省エネなどを呼びかけるもので、読売、朝日、日経の3紙に合計4600万円の広告費が流れた。この4カ月後には「減災特集」が組まれ、大手5紙のほかに、河北新報福島民報といった被災地メディア、果ては沖縄タイムスにまで総額2億4641万円の広告費が渡った。
 これらは一般会計からの拠出だが、復興予算が成立してからはもっとバラまきが加速する。内閣府は「出版諸費」の名目で4億9400万円を計上。これを原資にまず、昨年12月〈第3次補正予算の成立により支援制度が広がります〉という新聞広告が読売や朝日の岩手版や福島版、石巻かほく、三陸新報などの地元紙にズラリと載った。
 農水省も復興予算2億円を使い、今年3月までに大手5紙と中日新聞福島民報など10媒体に〈ふるさとふれあいプロジェクト〉という広告を打っている。
「『農山漁村ふるさと応援推進事業』の一環です。被災地にボランティアを呼びかける目的で出稿しました」(農村振興局)

<使われるべき優先順位が違う>

 復興予算はテレビ局、ラジオにも流れていて、昨年から今年にかけて総額4億5200万円が「放送諸費」として計上された。主体は内閣府と復興庁で、テレビ岩手、東北放送など復興支援番組を制作する被災地メディアのバックアップが目的だった。
 この問題を追及しているジャーナリストの福場ひとみ氏はこう言った。
「自分が調べた限りでも、新聞やテレビに流れた復興予算は総額30億円に上ります。もちろん、すべてが不要とは言いませんが、復興予算は被災地や被災者のために優先的に使われるべき国民の税金です。“広告だから”とシレッと受け取って喜んでいる大メディアの感覚はちょっと疑問です」
 こんな大惨事だったのだ。ボランティアの呼びかけなどはニュース枠で報じてもいい。なぜ、政府広報になるのか。被災地のメディアはともかく、大マスコミも政府予算に群がるさまは、誰もがキョーレツな違和感を覚えるのではないか。