敦賀原発 敷地内断層「大変活動的」

東京新聞

日本原子力発電(原電)敦賀原発福井県敦賀市)の断層(破砕帯)を調べる原子力規制委員会の専門家チームは一日、初日の調査を終えた。チームの五人は、敷地内を走る活断層「浦底断層」は今後も大きな地震を起こす可能性が高いとの認識で一致した。二日は、浦底断層から枝分かれし2号機直下につながっている「D−1破砕帯」などが連動して動くかどうか詳しく調べる。
 この日、チームは原電の掘った試掘溝(トレンチ)で断層を見たり、ボーリングで採取した岩石などを確認したりした。2号機の北東約二百メートルにある試掘溝は、浦底断層とD−1破砕帯が交わる場所に近いため、特に長い時間をかけて調べた。
 終了後の記者会見で、規制委の島崎邦彦委員長代理は「浦底断層が大変活動的な断層だと印象づけられた。それが原発敷地内にあることがかなり特殊だ」と指摘。千葉大の宮内崇裕教授も「一級の活断層という感想だ。これが大きく動くと、周辺ではいろんなことが起きると直感した」と述べ、浦底以外にも未知の活断層が建屋近くを通っている可能性を示した。
 ほかのメンバーも敷地内に活断層がある敦賀原発の危険性に言及した。二日は、所用がある東京学芸大の藤本光一郎准教授を除く四人が現地に残って調査を続ける。
 チームは十日に評価会合を開き、D−1破砕帯などが浦底断層につられて動く活断層かどうか判断する。活断層だと判断されれば、敦賀原発の運転は認められず、廃炉につながる可能性が高い。
◆「全員の感想共通」 初日調査に手応え
 原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理は、一日に始まった敦賀原発の初日の調査を終え、「見る場所が多く、検討しやすい」と手応えを口にした。
 調査後の記者会見には、メンバー五人がそろって出席。鈴木康弘名古屋大学教授は「メンバーの問題意識、感想が共通した」と初日を振り返った。
 意見が割れ、いまだに結論の出ない関西電力大飯原発福井県おおい町)の現地調査とは対照的に、冗談を言い合う余裕もあった。
 原子炉からわずか三百メートルを走る浦底断層が危険性の高い断層だとの点で、五人の見解は一致している。ここを出発点に新たな事実を積み上げれば、結論は見えてくる。
 五人のうち四人までが残る二日目の調査。会見の終わりに島崎氏は「二日かけて調査するかいのある場所だ」と意気込みをみせた。