安倍自民党政権の最大の敵は米国である

天木直人

安倍自民党政権はもはや向かうところ敵なしだ。
惨敗の衝撃から立ち直れない野党たちの体たらくを横目に見ながら参院選の勝利に手を打つ。
それでも足らないといわんばかりに維新の会の橋下と会談し、渡辺みんなの党との分断をはかる。
参院選が終ればその後3年間は選挙はない。
安倍自民党政権の一人舞台だ。
そんな安倍自民党政権の最大の敵は米国だといえば誰もが冗談だろうと思うだろう。
なにしろ民主党政権が壊した日米関係を立て直すのが最重要課題だと安倍首相自身が繰り返しているぐらいだ。
ところがその安倍首相の愛国・保守という政治信条がそもそも米国と相容れない。
とくに安倍首相の唱える歴史認識とその認識から由来する戦後レジームからの脱却を米国は認めない。
そのジレンマを安倍首相の応援団の筆頭である櫻井よしこ氏が見事に語っている。
発売中の週刊新潮1月17日号の連載コラム「日本ルネッサンス」において慰安婦問題に好意的な理解を示す米国を批判している。
そう思ったらきのう1月10日の産経新聞「安倍首相に申す」の中で、やはり慰安婦問題についての米国の対日歴史批判について理不尽だと嘆いている。
米国が日本を占領した時も同じ事をしていたではないか、米国も黒人を奴隷にしてきただろう、それなのに何故日本だけに厳しく当たるのか、というわけだ。 そう言いたい気持ちはわかる。
それに米国での慰安婦問題はロビー活動の政治的な駆け引きの側面は確かにある。
しかし米国にはこの恨み節は通用しない。
これ以上米国の意向に逆らえば米国は安倍首相の最大の敵として立ちふさがるだろう。
こんな恨み節を言うぐらいなら対米従属外交をやめて米国から自立した外交を進めるべきなのだ。
「自立する国家へ!」(田母神俊雄天木直人共著 KKベストセラーズ)という新書が1月19日に発売される。
外交・安保政策においてその考え方がまったく違うこの二人がなぜ一緒になってこの本を安倍首相に贈るのか。
それは、これまでの日本のどの総理も行なおうとして出来なかった日本外交の対米自立を安倍首相の手で行なって欲しいと願うからだ。
日本の自主外交を取り戻す事ができるのは貴方しかいないと褒め殺しているのである。
果たして安倍首相は信念を貫くのか、それとも対米従属に堕して米国に潰されるのか・・・