『主人在宅ストレス症候群』

こんなコラム記事が有りました。
【岩手日報2010.10.6】定年後の男の孤独を描く渡辺淳一さんの「孤舟」(集英社刊)という小説の中に「主人在宅ストレス症候群」なる言葉が登場する。

▼その名称から一目瞭然(りょうぜん)、一日中、夫と一緒に過ごすことで体調を崩す妻の症例の総称だ。ネットによると命名者は関西の著名な心療内科医。「亭主元気で留守がいい」というテレビCMがはやったころに気がついた−とホームページにある。

▼「昭和61年ごろ」というから西暦でいうと1986年。バブル景気が頂点を迎えようかという時に、団塊世代は40前後の働き盛り。家を「元気で留守」にしていた亭主たちだ。この時期に、妻のストレス症候群は芽生えていたわけだ。

▼その「元気亭主」も、はや定年の年ごろ。現役時代、仕事熱心だった人ほど退職後の喪失感は大きいという。渡辺さんの小説は、団塊世代の大量退職を、家族の問題としてとらえている。「仕事熱心」かどうかはさておき、切迫感はある。

▼定年までは少し間があるが、わが家はどうかと妻の様子を盗み見しながらの読書。出掛けようとする妻に「どこに行くの」と聞いていないか。妻と子の会話についていけるか。生活必需品の在りかは分かるか。

▼妻の望みは−と考えて、結構知らないことがあるのに気づく。定年後の家族の風景は、緊張関係にある隣国の出方を予想するよりも難しい。

『主人在宅ストレス症候群』は心療内科医・黒川順夫氏の命名だそうです。
『社会的背景として「戦前、日本は堅い、ハードな社会であった。私は体験したわけではないが、少なくともそのように聞いている。それにひきかえ、今は柔らかい、フワッとした、ソフトな世の中である。男女のみならず、一応、すべてが平等な社会である。
 実際、テレビでも新聞でも戦前のような国家中心、家父長中心的なことはいっていないし、子どもたちは学校でも貧富、階層に関係なく平等に習っている。仕事でも、男性と変わりなく働く女性が増えている。
 ところが、世の中のそういう大勢とは異なり、家庭内には昔どおり、戦前どおりの人間関係が残っていることが多い。あるいは、意識的に戦前どおりの夫婦・親子関係を維持しようとしている家庭もあるし、世の中の動きについていけない夫婦もいる。
 そこにだけは、昔どおりの男尊女卑があり、妻は夫に仕え、子どもは親に逆らうべきでないという古い道徳が生きている。封建主義というか、亭主関白というか、そういう戦前の流儀がまかり通っている。
  「主人在宅ストレス症候群」は、そのような家庭の主婦に多い。家庭内だけは昔のままを守ろうとするからこそ、無理や摩擦が生じるのではないか。昔のままを残そうとする家庭ほど、この症候群になるような主婦が出てくるのではないか。この点は、医師として強調しておきたい。
 こういう事情があるから、「主人在宅ストレス症候群」は年配の主婦に多くなる。とりわけ、夫が定年退職したときに顕在化するケースがもっとも多い。それまでは潜在していた夫婦間の問題が、夫の定年退職を機に「主人在宅ストレス症候群」として顕在化したともいえよう。
 もちろん、若い夫婦であっても、亭主関白のような古い流儀を続けようとすると、妻にストレスがかかってくるのはいうまでもない。ただ、今の若い人にはそういう傾向は少ないと思われるから、彼らが定年退職するころにはこういう症候群は減ってくるのかもしれない。
 しかし、あるべき家庭のイメージが混乱している現状にあっては、潜在的な「主人在宅ストレス症候群」は数限りなくある。極端にいえば、どの家庭でも起こりうる症候群といっても過言ではない。』
と解説してくださっています。

さしあたり、「主人在宅ストレス症候群」は私のような団塊世代が主だった対象になるようですね。海外赴任が多かった家の主人が言うには、お隣りの韓国社会などは儒教の影響で男尊女卑が今だに根強くあるようですから、いずれ、日本と同じような問題を抱えるかもしれませんね。

羽鳥湖高原では、私の知る限り、ご夫婦で和気あいあいと暮らしていらっしゃる方が多いいのではと思いますが・・・・・・・どうなんでしょうか?

そういえば、以前、那須の不動産会社の社長さんがお話してくれたのですが、ご主人が定年間際のご夫婦が、別荘を買い求めに来られ、奥様のほうが積極的に色々な物件をリサーチして、購入されたのですが、定年後は、ご主人が一人で住んでいるとか・・・。このような例が意外と多いいようですよと。奥様の方が先に「主人在宅ストレス症候群」の回避行動をしていたということですか。ご主人は何も分からず気がつかずに・・・・。