福島県教育委員会と福島県立福島西高校の実態

【ブルームバーグ】の記事です。
 福島第一原発から約60キロ離れた福島市の県立福島西高校。国語教師として25年務めた宍戸俊則教諭は、生徒たちにマスクをつけ長袖を着て肌を守るよう5月下旬まで注意してきた。そのアドバイスが顧みられることなく終わったのは暑さのせいではない。学校側が生徒への注意喚起を控えるよう指示したためだ。宍戸教諭(48)は今週、福島西高校を退職した。

 宍戸教諭は8月8日に福島を去り、妻と13歳と10歳の二人の子供がいる札幌に移る予定だ。北海道には現在3000人の避難者が疎開しているが、宍戸教諭は第2の福島を創るべく、避難した人たちのネットワーク作りを行い、仕事や住居探しの支援に携わりたいという。

 福島県教育委員会の担当者はブルームバーグ・ニュースの取材に匿名で応じ、福島西高校が宍戸教諭を制止したのは驚きだと述べた。同教育委では子どもたちが福島県外に避難する必要性は認識しておらず、学校では窓は開けていても大丈夫だとしている。同委員会では、外で遊んだらうがい・手洗いをするよう、また傷口に砂がついたら洗うように指導しているという。

 同担当者自身もマスクや長袖シャツを着ることなく毎朝登庁しているという。ブルームバーグの「健康上の不安はないのか」との質問に対し、「怖いというより暑いんです」と述べた。子供たちの不安については、また県内301校にカウンセラーを派遣し、生徒たちが精神的問題を抱えこまないように配慮していると説明した。


「見えないヘビ」

 世界原子力協会(WNA)は、放射線は人間の細胞やDNAを破壊し、長期にわたって被ばくすれば白血病や種々の癌を引き起こすと説明する。子どもは細胞の成長が早く、放射線の影響も受けやすい。

 アルスター大学(英国)客員教授のクリス・バズビー氏は先週、福島県を訪問し健康へのリスクついて情報を提供した。「目に見えるものは何もない。木は木のまま、人は相変わらず買い物に出歩き、鳥は鳴き、犬が通りを歩いている」と話し、そのような場所でもガイガーカウンター放射線測定器)を持ち出せば、あらゆるものが光を発し、死の使者のような見えないヘビに皆が噛まれているのがわかる」と続けた。