福島第1原発:「損害賠償紛争解決センター」開所

毎日JP
東京電力福島第1原発事故の賠償をめぐり、東電と被害者がトラブルになった場合などに和解を仲介する「原子力損害賠償紛争解決センター」(東京都港区)が29日、開所した。

 同センターは、被害者救済を迅速化するのが目的。賠償範囲の目安となる指針を策定している文部科学省原子力損害賠償紛争審査会の下に新設され、東京のほか福島にも拠点を置く。

 元東京高裁判事の大谷禎男弁護士を委員長とする「総括委員会」が、被害者からの仲介申請を引き受けるかどうかなどを決定。受理した場合、日本弁護士連合会などから派遣された数十人の弁護士らが「仲介委員」となり、個別事案ごとに和解案を提示し早期合意を促す。不服があれば、被害者は裁判手続きで解決を目指すことになる。

 紛争審査会はもともと和解を仲介する機能があり、99年に茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故時の仲介申請は2件だった。ただ今回の原発事故は被害者の数が膨大で、申請が殺到する可能性があるため、文科省は7月に政令を改正し機能を強化することにした。