福島県人口減り200万下回る

NHKニュース
福島県の先月1日現在の人口は、震災と原発事故のあと、住民票を県外に移した人が多かったことから、33年ぶりに200万人を下回りました。

福島県のまとめによりますと、先月1日現在の県の推計人口は199万7400人となり、震災と原発事故の前の3月1日から4か月のうちに2万7001人、率にして1.33%減少しました。減少した人数は、去年の同じ時期のおよそ4倍に当たり、内訳を見ると、死亡数から出生数を引いた「自然動態」の減少が5037人だった一方、県外への転出者から転入者を引いた「社会動態」の減少が2万1964人に上り、住民票を県外に移した人が多かったことが要因となっています。また、地域別でみると、原発事故で「避難区域」になっている県東部の減少率が高く、特に「警戒区域」に入っている富岡町浪江町双葉町では減少率が6%を超えています。今回のまとめには住民票を移さずに県外に避難している住民は含まれていません。福島県の人口は平成10年の213万8454人をピークに減少を続けていますが、200万人を割ったのは昭和53年以来33年ぶりです。県は「いずれ200万人を下回ることは想定していたが、ペースが予想以上に早まった。県外に避難している人が少しでも早く戻って来られるように、原発事故の収束と復興に全力を上げたい」と話しています。福島市では、先月1日現在の推計人口がおよそ28万9800人で震災前の3月1日と比べておよそ2200人減りました。

福島市では人口減少の背景には原発事故のあと、市民の間に放射線の影響への不安が広がったこともあるとみています。福島市市民課の安藤浩源係長は「震災後4月から5月にかけて転出の手続きをする人が多かった。原発事故の影響もあったのではないか」と話しています。

埼玉県加須市には、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、双葉町の住民が役場の機能ごと避難していて、使わなくなった高校の校舎で今もおよそ800人余りが一緒に避難生活を続けています。住民の話では、一緒に避難生活を続けている人たちのほとんどは住民票は双葉町のままだということです。福島県の人口が、先月1日現在で33年ぶりに200万人を下回ったことについて、避難生活をしている高校2年生の娘を持つ53歳の女性は「200万人を割ったことは寂しく思いますが、体のことや子どもの成長を考えると、人口の流出が続くのはしばらくはしかたないと思う。私は住民票は移さず、希望は残して双葉町にいつかは帰りたいと思っている」と話していました。同じく住民票を移していない67歳の男性は「学校が再興できないと人口流出はどうしようもない。それが一番の問題だと思う。自分は住民票を移すつもりはないが、いつ戻れるのか、国は早く方針を示して欲しい」と話していました。