東電調査委 報告の最終案判明

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東京電力の経営や財務状況を調査する国の委員会が、来月、政府に提出する報告書の最終案が明らかになりました。賠償に伴って東京電力の資金繰りは厳しくなるものの、高コスト体質の抜本的な見直しなしには電気料金の値上げを認めない姿勢を打ち出すとともに、経済産業省についても、電気料金が適正な水準かチェックを怠ってきたとして厳しく批判しています。
最終案によりますと、東京電力は今年度末までに総額でおよそ3兆6000億円の賠償金の支払いが見込まれるうえ、火力発電を増やしたことに伴って、燃料費も大幅に増加することが見込まれるなど、厳しい資金繰りが続く見通しです。このため、東京電力が行うとしていた規模よりもおよそ1000億円多い、総額7000億円の資産売却を行うことを求めています。それでも来年度以降は資金繰りが一段と厳しさを増し、経営を維持していくには電気料金の値上げが必要な状況になるとしています。しかし、東京電力が発電設備の修繕費用を実際よりも多く見積もったり、割高な燃料や資材の調達を続けたりして、増えたコストを電気料金に反映させてきたとして、これまでの電気料金が適正ではなかった可能性があるとしています。また、経済産業省についても、電気料金が適正なのか具体的な検証をおよそ10年にわたって行わなかったとして、厳しく批判しています。そのうえで報告書は、東京電力がこうした高コスト体質を抜本的に改め、その温床となってきた料金制度の仕組みや運用を見直さなくては、電気料金の値上げは認められないという姿勢を打ち出しています。この報告書は、週明けにも野田総理大臣に提出されることになっています。