これじゃ東電にメスを入れられるわけがない!経産省のエースが仕切る「経営・財務調査委員会」の不透明

現代ビジネス

東京電力の資産査定などを進める「経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)がまとめた最終報告案の内容が29日付けの朝刊各紙で一斉に報じられた。

 各紙の報道は細かい部分で微妙に異なっており、ここで詳しい中身に立ち入るのは差し控えたい。いずれ来月3日には報告書が公表される予定だそうだから、細かく内容が知りたい読者はそれまで待つべきだ。

各紙の見出しを見る限り「東電、8兆円資金不足も」(日本経済新聞)とか「東電の公的管理促す」(産経新聞)などとある。肝心の被災者に対する賠償総額がどれほどに上るのか、委員会はおおざっぱに見積もっただけで詳しい試算はしていないようだ。

 被災者への賠償を考慮しなくても、原発を再稼働しなければ、電気料金を値上げしたところで債務超過は避けられないようだ。となると、いずれ東電の賠償枠組みの見直しは必至だろう。これまで本コラムでも指摘してきたように、賠償負担を加えれば債務超過になるのが一層確実なのに、株主や銀行の責任を問わないのは筋が通らないからだ。

 とりあえず現段階で指摘しておきたいのは、この委員会の性格と情報公開のお粗末さである。

 委員会がどんな議論をしてきたか。内閣官房のホームページをみると一応、公表されている(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keieizaimutyousa/kaisai.html)。

 委員の顔ぶれは下河辺委員長以下、葛西敬之東海旅客鉄道代表取締役会長、引頭麻実大和総研執行役員、松村敏弘東京大学社会科学研究所教授、吉川廣和DOWAホールディングス代表取締役会長の5人だ。

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