除染幻想より避難選択権を住民に!

OLIVE NEWS


福島で東日本女子駅伝が行なわれることに関し、本紙はこの国の政府に落胆した。
以下は、10月12日文科省公表の新潟県及び秋田県の航空機モニタリングのうち土壌汚
染マップである。

http://bit.ly/twQ3H8

この汚染地図は、セシウム134が除外された半減期30年のセシウム137のみを対象とし
たものである。つまりそこにある放射性物質を除去しない以上、今後何十年も放射能
汚染される地域である。現在の我が国の電離放射性障害防止規則に於いて、除染が必
要とされる地域はアルファ核種を除き40000ベクレル/m2の濃度の地域である。
電離放射線障害防止規則によれば、事業者である東京電力が実施しなければならない。

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電離放射線障害防止規則
放射性物質がこぼれたとき等の措置)
第二十八条  事業者は、粉状又は液状の放射性物質がこぼれる等により汚染が生じた
ときは、直ちに、その汚染が拡がらない措置を講じ、かつ、汚染のおそれがある区域
を標識によつて明示したうえ、別表第三に掲げる限度(その汚染が放射性物質取扱作
業室以外の場所で生じたときは、別表第三に掲げる限度の十分の一)以下になるまで
その汚染を除去しなければならない。※別表三=アルファ線を放出しない放射性同位
元素 40Bq/Cm2

(貯蔵施設)
第三十三条  事業者は、放射性物質又は別表第三に掲げる限度の十分の一を超えて
汚染されていると認められる物(以下「汚染物」という。)を貯蔵するときは、外部
と区画された構造であり、かつ、扉、ふた等外部に通ずる部分に、かぎその他の閉鎖
のための設備又は器具を設けた貯蔵施設において行わなければならない。
2  事業者は、貯蔵施設の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げな
ければならない。
3  第三条第四項の規定は、第一項の貯蔵施設について準用する。

(容器)
第三十七条  事業者は、放射性物質を保管し、若しくは貯蔵し、又は放射性物質
しくは汚染物を運搬し、保管廃棄し、若しくは廃棄のために一時ためておくときは、
容器を用いなければならない。ただし、容器に入れることが著しく困難なものについ
て、外部放射線をしやへいするため、又は汚染のひろがりを防止するための有効な措
置を講じたとき、又は放射性物質取扱作業室内において運搬するときは、この限りで
ない。

(罰則)
第百十七条 第三十七条第1項の規定に違反した者は,1年以下の懲役又は100万
円以下の罰金に処する。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は,6月以下の懲役又は50万円以下の
罰金に処する。第三十三条の1項若しくは2項

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従って国民は、東京電力に対し、40000Bq/m2以上の汚染につき、ただちに除去するよ
う要求し、かつ、法令違反であることを指弾することが出来る。住民がそもそもその
放射性物質の除去を行なう義務など毛頭無く、電離放射線障害防止規則を叩きつける
だけでよい。

政府が云う除染は、未だ計画すら無く、原子炉の廃炉に三十年という全く無根拠な話
が示されただけである。すると現在福島県の十歳の子供が成長し、最も働き盛りとな
る三十代の期間、原子炉は今のままの状態ということだろう。三十年経過すれば、セ
シウムの汚染は自然的に半減するが、図の青色の地域が縮減するだけに止まる。
特に日本は降雨が多いため、山林から降雨の度に放射性物質が田畑や市街地に流れ込
んでくる。

特に福島県は山林が多く、かつ、市街地や田畑がその下流に沿って存在するため、長
期的な困難が予測される。昨日も述べたが、この原発事故による放射能汚染は、長期
的な健康影響を地域住民に及ぼすであろうし、かつ、別の経済的要因を惹起する。
新たに福島県で事業を行なおうとする企業は長期的に減少し他の地域に移転して行く。
また現在、福島県で操業している事業所も長期的に移転したり、廃止されたりする。

観光資源や農産物は、汚染が減少し、基準値が下がっても、長期的に需要が元に戻る
ことはない。除染については前述のように、山林の除染をどうするかが決まらなけれ
ば、田畑や市街地のみを除染しても、時間を経れば再び汚染されることとなろう。
本紙は、本件福島原発事故につき、長期的な健康影響や経済影響があると評価してい
る一方、政府が云う除染が広大な山林を踏まえるとき、果たしてそのあり方(期間、
費用)がどう計画されているのかについて懸念している。

結局、最後は自然減とされ、警戒区域内は長期間柵が打たれたままとなり、山林は断
念され、市街地や田畑は中途半端な除染に終わるのではないか。詰まるところ、原子
力発電は、もう我が国に存在してはならないのではないかとの別の国民的議論も必要
であるだろう。次期総選挙は、本件も争点となろう。
更には、本件事故に及んで中央政府霞ヶ関及び永田町)の信頼は地に落ちている。

本紙はこう思う。
現実的な問題として、本件原発事故に係る未来を予測することは難しい。
そして、本質的に福島県民とひとくくりに出来ない問題が多々存在する。
従って、本紙は、やはり結論として憲法の精神に基づき、個々の住民の権利を尊重し、
少なくとも5Ci/Km2(0.6マイクロ)の放射線管理区域基準で住民に「避難選択権」を
供与すべきであると主張する。

以上

http://bit.ly/twQ3H8

オリーブ拝