水の除染へ新手法 もみ殻で吸着

北國新聞

田崎和江金大名誉教授は20日までに、放射性物質で汚染された河川水に、もみ殻など を漬けて除染する方法を福島県内の企業と共同で開発し、実証実験で効果を確認した。福 島第1原発事故後、水の有効な除染法が確立されていない中、簡単で安価な方法として実 用化が期待され、福島県が公募した除染技術実証事業に採択された。
 実証事業には庄建技術(南相馬市)が応募。家屋や土壌以外の除染を対象とした部門で 採択され、現在、福島県があらためて効果を検証している。同部門には全国の企業などか ら76件の応募があり、採択は4件だった。

 田崎名誉教授らの実証実験は9〜10月、ホットスポットに近い南相馬市馬場の農業用 水で行われた。放射性物質を吸着するとされる粘土鉱物のバーミキュライトゼオライト のほか、もみ殻、もみ殻の炭、稲わらをそれぞれ水を通す袋に詰め、用水に置いた。

 5種類の袋とも実験前には放射性物質は未検出。実験後には、稲わらから国の暫定基準 値(1キロ当たり500ベクレル)の100倍以上となる5万1千ベクレルの放射性セシ ウムを検出した。もみ殻も3万2千ベクレルのセシウムを吸着したことが分かった。もみ 殻炭は2万4千ベクレル、バーミキュライトは4千ベクレル、ゼオライトは2080ベク レルだった。

 この結果から田崎名誉教授らは、稲わらやもみ殻のざらざらとした表面構造に加え、付 着している納豆菌などの微生物が水中に溶け込んだ放射性物質を吸着、固定しているので はないかと推察する。

 福島県による検証は12月いっぱいまで続けられる。田崎名誉教授は「稲わらより入手 しやすく、保存性が高いもみ殻を中心にこの除染法を広めたい」としている。