秘密のEMOTION確かめた 

独りファシズム

米国の凋落を各々のエレメントで検証すれば、経済システムの破綻が29年の世界恐慌を上回ることは明らかとなりました。リーマンショック以降の雑駁な推計ですが、破綻企業への租税投入は520兆円、株式損失は660兆円、不動産債務は1400兆円、個人ローンは210兆円、金融派生商品の残高は京円規模へ膨張し、もはや毀損額の算定すら不可能です。

これらの金があたかも揮発したかのように報じられていますが、売り抜けた投資集団の口座へ転移されたことは語るまでもなく、全ては壮大なプロットに従って進行しています。破綻の淵源が商業銀行の投機行為を禁じる「グラス・スティーガル法」の撤廃であることはつとに知られていますが、つまりは国民の預金、年金あるいは保険金をマーケットへ還流させ略奪するという精緻な絵図であったわけです。

金融や製造業など米国の産業主体はおおよそ国有化され、イデオロギーは事実上の国家社会主義体制へ変遷しています。つまり、規制撤廃は大資本の寡占へ発展し、市場メカニズムは機能不全に陥るというパラドックスが社会崩壊をもって論理実証されたわけです。資本主義は終焉し、民主主義は解体され、台頭するファシズムは同盟国の市場侵略を目論んでいます。

フラット税制と新自由主義は随伴関係にあり、この国においても構造改革により高額所得者と大企業群の優遇が実践されました。既得権益者の減免額は所得税法人税がそれぞれ年間約5兆円ベースであり、さらに2兆円規模の輸出税還付がキックバックされます。

つまり消費税の引上とは既得権益者から軽減した12兆円を、そのまま一般国民の負担として付け替えるトリックに過ぎません。また優遇される企業群の過半数外資の傘下にあり、徴収された租税がキャピタルゲインを通じ海外流出するという図式は、経済植民地のモデリングに他ならないわけです。

この現象の背後に働く力学とは、グローバルな閨閥のネットワークです。国家中枢、軍産複合体投資銀行、投機ファンド、多国籍企業資源メジャーFRBIMFWTO、おおよそ世界規模で搾取と略奪を実践する組織の人的系譜を辿れば、極めて限定された民族の少数集団、すなわちアブラハムの血族へと達します。

人間の精神が構築するものは全て何らかの点で欠けている、というジョージ・ソロスの「過激な可謬性」とは、認知支配による集約的略奪の概念提唱です。その前提において、あらゆる経済現象は壮大な人脈構造の形成合意であり、我々の世界認識とはヴァーチャル資本主義が産出するシミュラクラ(擬似像)への生体反射に過ぎません。