千葉県、初の人口減少 東京圏1都3県も人口減時代に

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千葉県の人口が昨年、1920年の統計開始以来初めて減少することがわかった。東京、神奈川、埼玉を含めた1都3県の東京圏の人口はこれまで増加基調が続いてきたが、先陣を切って人口減時代に入る。

 千葉県の毎月常住人口調査によると昨年12月1日は620万9303人で、年始から7724人減った。年末に大きく増える要因はなく減少は確実。今年1月末発表の調査月報で確定する。県は2010年に作った長期計画で17年までは人口増を続けると予測していたが、7年早くなった。

 引き金は、東京に近く、県全体の人口増を引っ張った柏、松戸市など常磐線沿線の東葛飾地域や、市川、浦安市など東京湾沿いの京葉地域の変化だ。一昨年は両地域の計12市で計2万8468人増えたが、昨年は12月までの時点で543人増に縮んだ。

 東日本大震災浦安市液状化で大きな被害を受けた。東葛6市は放射線量が高い「ホットスポット」とされ、ともに県外からの入り込み人口は激減した。銚子市など過疎化が進む房総半島南部や東部と合わせると、減少になる形だ。

 長期的な人口構造の変化もある。高齢化に伴い増えつつあった死亡数が昨年10月時点で出生数を逆転し、「自然減」に突入した。

 専門家は、地方から東京圏への転入による社会増もリーマン・ショック以降は縮小していくとみている。

 人口減について県は「一時的か長期的なものかは判断できない」との見解。だが県幹部は「ホットスポット液状化の問題は早急には解決しないかもしれず、回復は厳しい」と認める。

 東京圏の人口は地価高騰が収束した1995年以降、一貫して伸びた。昨年も千葉以外は増加見通しだが、1都2県のいずれも10年代後半か20年ごろから減少に転じると予測する。埼玉県は全国一の速度での高齢化の進展を踏まえ「10年代後半がピーク」。神奈川県も県西部で人口減が既に始まり、「20年からは減少」と予測。東京都も20年ごろをピークとみている。

 昨年10月時点で1年前と比較すると、1都3県でも都心から離れた郊外部を中心に人口減の市町村が広がる。120市のうち57市、69町村中54町村で人口が減少。都心のほか、横浜、川崎、さいたま市など大都市部の増加で支える構図だ。(重政紀元)