政府は中通り住民を黙殺する道を選択した

olivenews


上は、ヨウ素剤に関する原子力安全委員会と政府の原子力災害対策本部間の食い違いを示した記事で、過去にも報じている。原子力安全委員会は、昨年3月13日にヨウ素剤投与の勧告値を体表面密度10000CPMと助言したと述べているが、政府が実際に行なったのは半径20キロ圏内の住民だけであり、しかもどうこの圏内の住民を足しても900人にならないのである。

いったいどのような基準で、この900人が対象になったのかも分からない。30キロ圏内には屋内退避が出されているが、その外の飯舘、川俣、いわきなどには何らの指示も出ていない。中通り住民については、如何なる人からも指示があった話は聞こえてきていない。

原子力安全委員会は、SPEEDIは使えないと云ったが、すると何に基づいて避難、屋内退避、ヨウ素剤投与伴う医療体制配備を行なうつもりであったのか不明である。体表面密度を基準とするとするなら、そこにはサーベィメータがかなりの数、並びに地点数が必要になるし、そもそも10000CPMは既に被ばくした状態にある。

従ってやはりSPEEDIによる予測線量で警戒を行い、避難、屋内退避、ヨウ素剤投与を伴う医療体制配備を行なわねば、やりようがない。なぜならヨウ素剤は、24時間以前に飲んだ場合と被ばく後に飲んだ場合では、その効能が異なるからである。副作用についてエクスキューズがなされているが、その副作用を最小限に抑えるために既往歴含め医師が投与を判断するのが前述の医療体制なのである。

だが実際には、放射能プリュームは北西方向になんと12時間にわたって、流れ続け、飯舘村いわき市、川俣町、また中通り住民にも襲い掛かった。いったい誰がこの地域が安全だと判断したのか事故調査委員会で詳しい調査が必要である。

最初の誤謬は、格納容器内で水素爆発は起きないと云ったら爆発し、半径20キロと判断したら実は半径80キロで、圧力容器や格納容器は壊れていないと云ったら3台とも損傷していた。それが原子力安全委員会に起因するのか、原子力安全・保安院に起因するのか、それはわれわれ国民にとってはどうでもよいことであり、われわれは新宿で21日に放射能雨を被ることになった。もしテレビが「皆さん、屋内退避をお願いします。」と一言呼びかけていれば、少なくとも初期被ばくは免れた。

しかも放射能プリュームが既にそこになくなり、ヨウ素半減期が2回も過ぎた後で、しかも異常なバックグラウンド線量の場所で「0.01マイクロシーベルトで問題なし」でしたってシロウトじゃあるまいし。本件に関する報告は、月末までに総合的な放射能プリュームの挙動と分析と照らし、きちんと皆さんに行なう。

だが本来なら浴びなくてもよい恐ろしい放射性ガスである、ヨウ素131やセシウム137+134並びにテルル132等々を確実に体内に吸引してしまったことは事実であり、この責任は必ず取ってもらう。チェルノブイリでも、近隣住民が何も知らされずこの初期の放射性ガスを吸い込んだことが後々の健康状態に大きく影響した。勿論、その後の汚染地帯での被ばくがこれを憎悪する。

われわれは、郡山疎開裁判は少なくとも「保養目的」でも疎開させるべきであったと結論していることを書いておきたい。小佐古教授が涙ながらに語ったことは、徐々にその真相が明らかになりつつある。
ぜひ国会事故調でも厳しく本件を追及すべきである。

以上
オリーブ拝 ( 2012/01/12 18:30 )