「東電と福島県 連絡協定違反」 浪江町、国会事故調に

東京新聞

 国会の東京電力福島第一原発事故調査委員会(黒川清委員長)は二十一日、福島県二本松市で会合を開き、同市に集団避難している浪江町馬場有町長らから、事故当初の状況や事故調べの要望について聞き取りした。
 馬場町長は昨年三月十一日の事故発生後、翌十二日早朝にテレビで十キロ圏内の屋内退避指示を知るまで、原発の深刻な状況を把握できなかったと説明。東京電力、県、町の三者原発のトラブルに備えて通信連絡協定を結んでいたにもかかわらず、東電と県からは一切情報が来なかったことを明らかにした。
 その上で「歩いてでも報告に来るべきだ。協定違反だ」と指摘。経緯を徹底調査するよう求めた。
 緊急時に放射性物質の拡散を予測するシステムSPEEDI(スピーディ)のデータ公表の遅れも批判。「連絡していただければ、別の避難の方法もあった」と述べ、原因の究明を求めた。
 避難している町民約百八十人との意見交換会も開催。被ばくによる健康被害を心配する声や、政府が進める大飯(おおい)原発福井県おおい町)3、4号機の再稼働について「国民の命をないがしろにしている」と批判する意見が相次いだ。
 二十二日は会津若松市大熊町関係者からの聞き取りや、町民との意見交換会を行う