東北の主要企業 脱原発依存「賛成」46.5%

河北新報社


東京電力福島第1原発事故を受け、国民的関心が高まる「脱原発依存」について、東北の主要企業の半数近くが賛成の意向を持っていることが、河北新報社が行ったアンケートで分かった。「賛成」に「どちらかといえば賛成」を加えた賛成派は46.5%に上り、「どちらかといえば反対」を含む反対派の12.7%を大きく上回った。ただ「分からない」も40.8%あり、政府のエネルギー政策が定まらない中、判断を迷っている様子もうかがえた。

 脱原発依存の賛否結果はグラフの通り。賛成派では「どちらかといえば賛成」が、明確に「賛成」とした回答より12.7ポイント多かった。
 本社の所在県別でも、6県全てで賛成派が反対派を上回った。賛成派の割合は、原発が立地しない岩手が80.0%、山形が50.0%で、東北電力女川原発宮城県女川町、石巻市)を抱える宮城も47.3%に達した。
 原発事故と向き合う福島は42.9%で、「分からない」と同数。東北電東通原発東通村)などが立地する青森は36.4%。秋田は25.0%で残りは全て「分からない」だった。
 業種別で賛成が目立つのは食品・外食(80%・0)、製造業(64.3%)、百貨店・スーパー(57.2%)など。
 自由意見では「地熱発電など代替エネルギーをもっと研究すべきだ」(宮城の食品)、「依存したままではリスクが大きい」(岩手の小売り)などが「脱原発依存」の理由に挙がった。
 反対意見は「電力供給が十分でない中では電力料金の引き上げは避けられず、現実的判断ではない」(福島の小売り)などがあった。
 原発事故の風評被害についての質問では、全体で「ある」が45.2%、「大いにある」が15.1%となり、事故の影響の大きさが裏付けられた。「ない」は39.7%。
 「大いにある」と「ある」の合計の県別は、秋田(25.0%)を除く5県で5割を超え、最も高い福島は87.5%となった。業種別では食品・外食が全社、総合・専門商社の87.5%が被害を訴えた。
 具体的な被害では福島県の小売業が「社員の定着や新規採用が難しい」とし、山形県の製造業は「輸出する機械に関して放射能の測定結果を求められる」と指摘した。
 アンケートは4月、東北の120社を対象に郵送で行い、73社が回答した。
                                          2012年05月20日日曜日