Lolita 2 

独りファシズム

消費税率引上げが強行されつつあるのですが、破綻を加速させる暴挙であることは語るまでもありません。未曾有の震災、原発事故、慢性化した不況という複合要因により社会条件は悪化しつくしているのですから、そもそも減税によって設備投資・個人消費の低迷という経済血栓を解消し、全体社会の資本循環を図ることが本来的な政策であるはずです。

最悪の経済環境において増税を実践するのですから、企業部門および家計部門ともに抑圧され、消費不足がさらなるデフレスパイラルのトリガーとなり、倒産と失業の増大が社会保障費の圧迫と財政破綻へ連鎖することはあきらかでしょう。

いずれにしろ5%の税率引き上げにより経団連を触媒とする多国籍企業は、約6兆円規模の輸出税還付を享受できるのであり、つまり消費税引上分の約50%がALIEN(投資集団)の利潤に転化される仕組みであり、増税とは経済植民地のノルマ実行に他ならないわけです。

国民はあまりにも無知であり、慄然たる支配の構図に気づくこともありません。国政(システム)は福祉ではなく資本利潤の増殖を目的(アルゴリズム)としているのであり、侵略者のために一般国民が犠牲を強いられているのであり、自国経済の発展より外国人投資家の短期利益が優先されていると言えるでしょう。

新自由主義における福祉政策とは形容矛盾なのであり、むしろ絶対的な格差の固定と社会資本の傾斜配分こそがイデオロギー(社会観念)の論理モデルであるわけです。つまりは下方平準化によって階級制度を恒久化する目論見であり、換言するならば誰もが不幸である社会の構造化に他なりません。

社会保障費の増大は生活困難者の自助努力の不足によるものである、というコンセンサスがメディアの暴力によって形成され、大幅な削減が実践されようとしているのですが、OECD加盟国中2位まで上昇した貧困が略奪者によって構造化されたことは既述のとおりです。そもそも生活保護費は特別会計の1.5%にも満たない額なのですが、官吏機構の維持コストはその20%を超えているのであり、つまりは強者の権益のため弱者の生命を削る行為に等しいわけです。

生活保護受給者は2004年から年間平均8万人ペースで増加しているとおり、その源泉が経団連の野心であった労賃の固定費から変動費への転換、つまり「派遣労働法改正」による労働者の使い捨てであったことは明らかでしょう。

トリクルダウン理論」という富裕者優遇による経済波及効果を主張し、派遣法改正により労働者を奴隷化した当時の財政金融大臣は、人材派遣会社へ天下り莫大な収入を得ているのですから、この国において収賄は合法なのであり、法案は市場取引されているのであり、政治とは経済行為でありビジネスモデルであると言えます。

非正規労働者が将来的に要する社会支援は年間20兆円と試算されたとおり、「搾取による産業資本の過剰蓄積は、終局的に社会コストの増大となり破綻に至る」という新自由主義の典型モデルへと収斂しています。すなわち企業ベースという単体での合理的行為は、社会ベースという全体において不合理的現象へ発展する「合成の誤謬」を体現しているわけです。

マルクスは「生産関係」によって国家の下部構造である国民が上部構造である政治を決定すると主張したのですが、つまるところIMMATURE(精神的未熟)な我々の社会システムは、その論理実証であり民度の反映に過ぎません。