「不安をあおる」という名の隠蔽工作

天木直人

きょう7月20日の毎日新聞が一面トップで報じていた。
独立行政法人放射線医学総合研究所」が福島県民向けに被ばく線量
を推計できるシステムを開発したにもかかわらず、福島県側が「不安を
あおる」と反対し、導入が見送られていたことがわかった、と。
調査を実施しないほうが不安や不満を高める結果になることは専門家
の一致した意見であるというのにである。
奇しくもこれと同じような記事を7月20日の読売新聞栃木県版に
見つけた。
すなわちその記事の要旨はこうだ。
栃木県那須塩原市は市民全員を対象にした放射線による内部被曝
測定するボディカウンターの購入を見合わせた。ボディカウンターの購入
は今年1月の市長選挙で当選した阿久津憲二市長の選挙公約であったに
もかかわらずである。
その理由は、近隣地町村が最近行なったサンプル調査(130人)では、
検出限界値を上回った人は7人で、その数値も「いずれも健康への影響が
懸念される値ではない」からだという。
この那須塩原市の決定はあきらかにおかしい。
いまでも那須塩原市の一部は毎時0・565マイクロシーベルトである
という事が、その記事のとなりに平気で明記されているのである。
この二つの記事が教えていることは、この期に及んでも行政は放射線
被曝について隠蔽し続けているということである。
それにしても渡辺喜美は何をしているのだろう。
阿久津憲二新市長は渡辺喜美の「みんなの党」として当選した市長だ。
脱原発を唱えホットスポットである地元那須塩原市の住民を救う立場に
ある。
渡辺喜美はこの那須塩原市長の決定を知っているのだろうか。
地元住民の一人として渡辺喜美に問いたださなければならないと思って
いる。
                                了