政府事故調:原発誘致「後悔だけ」、福島の怒りと嘆き

毎日JP

国も東電も住民にわびてほしい」−−。東京電力福島第1原発事故を巡り、政府や東電などの対応の不備を一つ一つ指弾した政府の事故調査・検証委員会の最終報告書。事故当時、大混乱に陥った地元住民や首長からは改めて怒りと嘆きの声が上がった。

◇失われた信頼

 「指摘された安全対策や非常時の対応の問題は、住民が事故前から何十年間も心配し課題になっていた。しかし東電は事故は起きないものとして取り合わなかった」。南相馬市でクリーニング会社を営む高橋美加子さん(64)は憤る。高橋さんは福島県中小企業家同友会相双地区会長を務め、事故後は市復興計画の策定に加わった。「国も東電も信頼関係を取り戻す手立てが必要だ」と話した。

 富岡町兼業農家で、現在は郡山市内の仮設住宅で暮らす安藤桂市さん(71)は「国も東電も連携ができなかったことを住民にわびてほしい」と静かに訴える。「私は半分、町へ帰るのをあきらめている。今は原発を地元に造らせてしまったのを後悔するだけ」