「祭りのあと」経済パニック

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(日刊ゲンダイ2012/8/10)

五輪終了で火を噴く

「祭りのあと」を心配する市場関係者が増えている。五輪が終わった途端に、鳴りをひそめていた経済問題が一気に噴出しかねないというのだ。

「五輪開催中はメディアがメダルの行方に集中するため、ユーロ危機や英国発のLIBOR(ライボー)ショックはタナ上げされています。投資家も五輪に夢中だから、悪材料に目が向かないうえ、市場は薄商いになる。しかし危機は何ひとつ解決していません。

五輪は12日に閉会式を迎える。その直後からユーロ危機が再燃し、円高・ユーロ安に襲われるでしょう」(市場関係者)

◆00年、04年、08年も悲惨だった

過去の五輪が「祭りのあと」の悲劇を証明している。00年シドニー大会の直後はユーロ安が加速。閉幕時の1ユー
ロ=95円台が、1カ月後には88円台まで円高が進んだ。

04年アテネ大会後はドル安が止まらず、1ドル=109円台が、年末には102円台に突入した。
08年北京大会後はリーマン・ショックだ。五輪閉会後、忘れられていた悪材料が一気に噴き出す形だ。市場がおびえるのも無理はない。

京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏が言う。
「今回はユーロとドル、両方で円高が加速する恐れがあります。しかも日本は政治不安が重なります。さらに金融円滑化法が来年3月末で終了するから、中小企業の倒産増加の懸念も高まります。金融機関は9月中間決算を睨んで、円滑化法を利用した中小企業の債務者区分の見直しを進めています。破綻懸念先に区分された中小企業は借金返済を求められ、経営が立ち行かなくなる危険性があります」

円滑化法を利用中の中小企業は約30万件。そのうち約2割は金利の返済すらままならない状態だといわれる。

「5、6万件が倒産の危機に直面しているのです。五輪が終わる秋口から表面化してくると思います」(友田信男氏=前出)
五輪開催地ロンドンが震源地の“LIBORショック”も、五輪が終われば再び火を噴く。北京直後のリーマン・ショックを超える危機が到来するかもしれない。