私達は侮辱の中で生きている

全日本自治団体労働組合

「2030年時点での原発比率はどれくらいがいいのか」、政府は今後のエネルギー政策の検討を進めており、全国11ヵ所で意見聴取会を開くほか、パブリックコメントを8月12日まで募集している。これらの意見を参考に、8月末に新しいエネルギー政策を決める。脱原発社会の実現に向けて正念場を迎えた。その中「さようなら原発10万人集会」が7月16日、東京都渋谷区の代々木公園で開催された。脱原発社会の実現に向け取り組みを強化しよう。

  集会には、猛暑の中過去最大規模の約17万人、自治労からは約5千人が参加した。労組や市民団体など組織による呼びかけに応じた人だけでなく、インターネットなどで集会を知った市民や、毎週金曜日に首相官邸前で抗議行動を続けている市民も加わり、原発再稼働への抗議の声をあげた。会場から3コースに分かれてパレードが繰り広げられ、会場内でトークや音楽のライブも行われた。

 集会で鎌田慧さんは「署名を首相官邸に持って行った次の日に大飯再稼働が決まった。こんな民意を無視することがあるのか。政府のパブリックコメントを私達の声でパンクさせよう。エネルギー政策を大転換させよう。政府案を見て秋にもう一度集まろう」と語った。

 坂本龍一さんは「国の未来である子どもの命を危険にさらせない。子どもと美しい国土を守ろう。福島の後に沈黙していることは野蛮だ」と語った。

 内橋克人さんは「再稼働計画は目白押し。私達の声、福島の悲惨な現実はどこに消されてしまったのか。国民的合意なき国策にNOを突きつけよう。福島の悲劇に学ぼうとしない議員を国会に二度と送ってはいけない。子ども達への責任だ」と語った。

 大江健三郎さんは「私達は侮辱の中で生きている。私達は侮辱の中で生きていくしかないのか、次の原発事故で侮辱の中で死ななくてはならないのか。私達は政府の目論見を打ち砕かなくてはいけない。恐怖と侮辱を打ち砕けると信じる。しっかりやり抜こう」と語った。
 落合恵子さんは「原発はいらない。再稼働を許さない。原発輸出をさせない。私たちが守るのは命、暮らし、田畑。声を音と言うのは民主主義ではない。私達は主張し続けることを大切にしていこう」と語った。

 澤地久枝さんは「皆さんの気持ちが政府に届かねば民主主義とは言えない。自分の意見を言うのをはばかることはない。怖がることはない」と語った。

 瀬戸内寂聴さんは「この運動が政府の行動を変えられるか懐疑的だが、続けねばならない。空しいと思う時があってもめげずに、相手が言うことを聞かなくても言い続けよう」と語った。

 広瀬隆さんは「経営破たんをさせたくないだけのために、大飯を再稼働させた。取引をしよう。電気料金値上げでは中小企業の問題だけが心配だが全国の金で関西を救えないわけがない。国民と電力会社で取引する仕組みを考えよう」と語った。

 福井県の中嶌哲演さんは「再稼働を止められなかったことは忸怩たる思いだ。しかし、大多数の県民は受け入れていない。かつて国策として推進された戦争の最後に広島、長崎があった。そして、福島がある。まさにビッグピンチにある」と語った。

 福島県の武藤類子さんは「悲しみと困難の中で、それでもよくやってきたと言いたい。驚き、呆れることもたくさんあった。分断され、暗闇の中でつながってきた。分断の中に陥ることなくつながっていこう」と語った。