外交・安保政策については安倍晋三自民党総裁は野田民主党代表と同じにならざるを得ない

天木直人

どうやら米国は自民党の政権復活を視野に入れ始めたようだ。
9月28日の産経新聞がワシントン発佐々木類記者の記事を掲載
していた。
米国政府は自民党総裁選に勝利した安倍晋三元首相について関心
を高めつつあると。
そしてさっそく注文をつけ始めた。
その中でも注目されるのが安倍氏の外交・安全保障政策である。
米大手シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)のニコラス
セーチェーニ氏がこう述べたという。
「2006年の首相就任直後、最初の外遊先に中国を選んだのは、
近隣外交の大切さを知っているからだ。具体的な対中、対韓政策は
今後の言動に注目したい」と。
いたずらに右翼的名発言を繰り返す安倍首相を褒め殺して、野田民主党
政権下で悪化した中国や韓国との関係を修復せよと迫っているのだ。
さらにセーチェーニー氏は続ける。
集団的自衛権行使を容認すれば、日米の防衛協力を具体的に強化
することが出来る」と。
日米同盟深化への役割拡大に期待しているのだ。
安倍晋三氏は戦後体制の見直しとか慰安婦問題についての強硬発言で
米国の信頼を失った。
その彼が自民党の総裁となって政権復活を目指している。
そうであれば日本の宗主国である米国の信頼を回復しなければならない。
田母神氏などのような反米愛国保守一緒になって本音の発言を繰り返す
ようでは、たとえ政権復帰をしても米国に見放されるということだ。
野田首相のようになんでもいう事を聞く親米保守になれ、と安倍自民党
総裁にメッセージを送っているのである。
ここまで脅かされてはどうにもならない。
ただでさえ過敏性の病気になる安倍氏だ。
さぞかし震え上がったことだろう。
安倍自民党が政権をとれば野田民主党政権と同様にその外交・安保政策は
米国の言いなりの従属的なものになるしかない。
米国にとっては野田民主党政権であれ安倍自民党政権であれ、どちらでも
いいのだ。
対米従属外交は守るだろうな、と一言メッセージを送ればそれで十分なので
ある。                                   
                                        了