どこが勝つのか今回の選挙 もう一度小沢に投票か棄権か

日々担々 資料ブログ

日刊ゲンダイ2-12/11/24)

本当に悩ましい12月16日投票の今回の選挙

<選挙民の多くはどの党に投票すると予想されるのか>

 どのメディアもハッキリ書かないが、橋下・維新の会はもうオシマイだ。石原慎太郎の太陽の党と組んだことで、完全にメッキが剥がれてしまった。なにしろ、脱原発を引っ込めただけでなく、企業団体献金も容認なのだ。「どこが改革政党なのか」と言いたくなるが、23日、東大の文化祭に招かれた元改革官僚の古賀茂明氏もこう言っていた。
「妥協に妥協を重ねて改革の目玉政策がなくなってしまった」「みんなの党との政策協議では改革の政策がズラリと並んでいたが、太陽と合併した途端、抜け落ちてしまった」
 古賀氏はそれでも橋下に期待しているというが、国民は違う。落胆、失望は世論調査の数字にハッキリ表れていて、政党支持率は4%(朝日)という体たらくだ。これは11月中旬の数字だが、おそらく、今はもっと下がっている。さらに政策の迷走、候補者調整の混乱、ドタバタが露呈しているからだ。

<トップもトップなら候補者も候補者>

 維新の会をウオッチし続けているジャーナリストの横田一氏はこう言った。
「橋下氏は次の選挙で勝たなきゃ、ダメだと思っている。だから、政策よりも石原氏との合併を優先させたのです。しかし、これが完全に裏目に出ましたね。これまでと主張を変えたのは脱原発や企業団体献金だけではないのです。例えば、石原さんは知事として、八ツ場ダム推進の立場を取ってきた。しかし、いち早く民主を飛び出し、維新入りした石関貴史衆院議員は維新の面談で“民主党は八ツ場ダムの建設中止をうやむやにしたから離党した”と語っていた。群馬4区の維新候補はダム建設反対の本まで出しています。橋下氏はあれだけ政策の一致が前提とか言っていたくせに、どう説明するつもりなのでしょうか。維新は選挙の顔欲しさで石原氏と組み、その政策まで丸のみしたことで、完全に信頼を失ったのです」
 候補者も候補者で、よくぞ、こんなデタラメなトップを担いでいるものだが、要するに、コイツらだって、選挙目当て、看板欲しさ。同じ穴のムジナなのだ。橋下は「支持率はさらに下がるだろう」とか言って、計算済みと言わんばかりだが、石原と組んでさらに落ちるのは予想外だったはずだ。支持率が4%よりも下がれば、もう泡沫政党になってもおかしくない。

<反省ゼロの自民党に戻すわけにはいかない>

 そこで、それじゃあ、今度の衆院選挙は、どこに投票すればいいのか、だ。
 国民の期待を裏切り、党分裂を招きながら、純化路線とか言い出し、居直っている野田・民主党は論外だし、敵失に乗じて浮上しているだけなのに、ニタついている安倍自民党もどうにもならない。公認候補に2世議員をズラリと並べ、公約には教育改革とか、前回ブン投げた時と同じような政策を列挙する神経にもドン引きだ。
 ナーンにも変わっちゃいない自民党に政権を戻すわけにはいかないから、実に悩ましい選挙になるのだが、こうなると、選択肢は2つしかない。
 やっぱり、小沢か、それとも棄権か。
 小沢には投票日までにぜひとも、維新以外の第三極をまとめて欲しいものだ。そうすれば、小沢連合に入れた票も生きてくる。しかし、そうならないと、国民は本当にドッチラケだ。ここに入れれば、政治が変わる。暮らしが良くなる。そんなリアリティーを持った政党がひとつもなくなってしまうからだ。
 やっぱり、小沢しかないのである。ニコニコ動画で、小沢氏とよく対談する政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「小沢一郎氏の『国民の生活が第一』は比例で善戦する可能性がある」とこう言った。
脱原発、反消費税を明確に貫いているのは国民生活だからです。新聞の世論調査では小沢新党は伸びていないが、ネットでは大きな支持がある。それでなくても、小沢氏は自由党時代、比例で660万票をたたき出し、周囲を驚かせた。今回はもっと上積みが期待できると思います」

<リベラル第三極が結集すれば面白い>

 正確に言うと、小沢自由党は00年に分裂し、衆参50人の議員のうち、半数以上が保守党に回った。小沢自由党に残ったのは24人で、メディアは盛んに「小沢は終わった」と書き立てたものだ。しかし、00年の衆院選では660万票を獲得し、衆院の勢力を18人から22人に増やした。
 面白いのは、このときの小沢自由党政党支持率で、時事通信の調査ではたった3.2%だった。それでも小沢は22議席を奪い、選挙での強さを見せつけたのだ。
 生活はもともと衆院38人、きづな、大地を加えると49人。00年よりはるかにポテンシャルは高い。
 そこにもってきて、小沢が脱原発、反消費税、TPP慎重、国民生活第一などを掲げ、デタラメ既成政党とウルトラタカ派第三極に対抗する「軸」を打ち出せば、間違いなく、支持率は跳ね上がる。選挙で一定の勢力を占めれば、今後の政局でさまざまな可能性が出てくるのである。法大教授の五十嵐仁氏(政治学)は「そうならなければ、日本が危うい」とこう言った。
「小沢氏を中心とした三極がまとまれば、投票の際に貴重な選択肢になるし、そうならなければ大変ですよ。安倍自民党は対中、対韓関係がこれだけ緊迫しているのに、憲法改正国防軍設置、集団的自衛権容認に踏み込もうとしている。日本維新の会民主党が賛成すれば、憲法改正が現実になる。そんな事態になったら、中国、韓国での経済活動は大打撃を被る。ここはリベラルな第三極が結集して、何としてもこうした動きを阻止することが必要だし、ここを争点にすれば、支持は集まる。タカ派かリベラルか。中国とケンカするのか、仲良くやるのか。それを問うのです。リベラル第三極が衆院で3分の1を占めれば、憲法改正は阻止できる。それくらいのつもりでやって欲しい」
 こういう展開になれば、国民も棄権票を投じなくても済むわけだ。リベラル第三極が票を伸ばせば、どの政党も過半数を握れず、連立になる。自公で過半数を得られなければ、あらゆる組み合わせが考えられる。そのとき、リベラル第三極に一定の数があれば、憲法改正はもちろんのこと、消費増税も阻止できる。
 今度の選挙は短いように見えて、時間が長い。だんだん、政党、候補者の正体が露呈してきた。今はドッチラケだが、これから争点が明確になる。棄権を決めるのはまだ早い。