福島被曝賠償を米兵から訴えられた東電とその衝撃 

天木直人

きょう28日のニュースの中で断然注目すべきはこのニュースだ。
すなわち「トモダチ作戦」で派遣された米原子力空母「ロナルド・
レーガン」の乗組員8名が東京電力を相手に94億円の損害賠償訴訟を
カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁に起こしたというニュース
だ。
福島原発事故の影響が正確に伝えられなかったため被曝して健康被害
を受けたからだという。
さすがに米国は訴訟社会だ。
どんな事でも訴訟のネタにする米国人の感覚には違和感を覚える。
時として法外な賠償を命じる米国の判決には疑問を抱く。
そして訴訟と言えば日本企業がカモにされる事をトヨタや三菱などの
過去の例で我々は知っている。
それに東電を訴えるのなら同時に「トモダチ作戦」を命じた在日米海
軍司令をも訴えなければ片手落ちだろう。彼らは被曝線量をつかんでい
たに違いないからだ。
しかも原子力空母の乗組員だ。原子力空母は大丈夫なのかという皮肉
の一つも言ってみたくなる。
しかし今度の訴訟だけは私はそれを歓迎する。
そして米連邦地裁が東電に賠償を命じる判決を下す事を期待する。
トモダチ作戦ぐらいで被曝するというのなら福島住民の被曝はどうな
んだ。比べ物にならない。
8人で94億円の賠償が認められるなら福島住民も一人あたり10億
円以上貰わなければ米兵との間で不公平になる。
そうなのだ。
この訴訟は日本で行なわれている東電に対する被曝訴訟に大きな影響
を与えざるを得ない。
この訴訟が認められれば今度こそ東電は潰れる。
司法の独立と言ってもこれは極めて政治的な訴訟だ。
もし米国政府が東電に賠償命令を下す判決を容認するならば日本の反
米感情は高まるだろう。
もし安倍新政権が東電が潰れる事を黙認するのなら、その時こそ日本
国民は思い知るだろう。国粋主義の安倍新政権でさえも米国に何も言え
ないのだと。
この訴訟の行方は日米関係に大きな影響を与える訴訟だ。その後の展
開から目が離せない・・・