羽鳥湖高原と月山

10日、月山と言っても山形の月山ではなく、那須の南月山に登ってきました。主人と私、羽鳥湖を早朝6時に出発、自動車で那須山麓駅に向かい、始発のロープウェイで那須山頂駅到着、茶臼岳は何回も登っているのでパスして牛ヶ首、日の出平、そして目的の南月山に到着。残念ながら霧で視界は悪かったけど、久しぶりの尾根歩きだったので楽しかったですよ。現在は那須岳と呼ばれている連山主峰の三本槍岳・朝日岳・茶臼岳・南月山・日の出平・白笹山・黒尾谷岳は、古来は「月山」と呼ばれた霊山。ついつい山形の月山と重なります。
森 敦は『月山』のなかで、「月山が、古来、死者の行くあの世の山とされていたのも、死こそはわたしたちにとってまさにあるべき唯一のものでありながら、そのいかなるものかを覗わせようとせず、ひとたび覗えば語ることを許さぬ、死のたくらみめいたものを感じさせるためかもしれません。」と名文を書いていますが、古くは死者の行くあの世の山も、ロープウェイを使い散歩気分で入山する私のような現代人には「死」の覚悟みたいなものが欠落しているので、「死のたくらみめいたもの」の謎はますます遠のき、「死こそはわたしたちにとってまさにあるべき唯一のもの」を受け入れる心構えもないままに己の死を迎えて、ひょっとしてここには、戸惑い彷徨する現代人の無数の魂があちらこちらに浮遊いているのかしら・・・・なんて、ふと考ええてしまった山行でした。